映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「田園に死す」感想

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田園に死す、みた。過去の記憶のコンピレーション。白く厚塗りした化粧は、素顔のままでは嘘をつけないという素直さの現れか?おどろおどろしい恐山の景色、川を流れる雛人形、仏壇の前での性行。悪夢的なビジュアルの力は「書を捨てよ町へ出よう」を越えないが、ラストシークエンスは強烈だった…。

死神の装束を身に纏う集団はベルイマン「第七の封印」を、少年期の自分との対話はホドロフスキーエンドレス・ポエトリー」を連想させる(本当は「リアリティのダンス」なのかもしれないけどまだ見てないので)。オモチャ箱の中身みたいな世界観は、調子悪い時に見た夢のよう。

個人的な体験をこのように超抽象的かつシュールに表現したら、それはもはや見る人の誰も寄せ付けないのではないかとは思うのだが。ある意味、他人に分かられてたまるかってことなのかもしれない。過去の自分と対話し、どれだけ未来を変えようとも、思い通りにはいかない。矛盾した現在を走るしかない。

個人的な体験をこのように超抽象的かつシュールに表現したら、それはもはや見る人の誰も寄せ付けないのではないかとは思うのだが。ある意味、他人に分かられてたまるかってことなのかもしれない。過去の自分と対話し、どれだけ未来を変えようとも、思い通りにはいかない。矛盾した現在を走るしかない。

寺山修司は「書を捨てよ町へ出よう」の中で「映画は嘘だ。暗闇の中でしか生きられない」という語りを入れている。「田園に死す」もまた徹底してメタな映画ではあるが、俺はここに虚構への祈りみたいなものを読み取りたくなる。40年以上前の前衛なので今から見て新奇であるかはともかく面白かった。