映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「白夜」感想

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白夜、みた。ロベール・ブレッソン版。撮る人が変わるだけでこんなにも変わるのか。ルキノ・ヴィスコンティ版より好き。静謐でどこか無機質な世界。ポン・ヌフの雑踏、セーヌ河を通る船から響く太鼓のリズム、テーブルの下で絡み合う男女の手の官能、繰り返されるテープの暗示する未来…傑作!

アントニオーニ版のマルチェロ・マストロヤンニはストーカー親父感があってキモかった(さすがにヒロインと年離れすぎ)が、ブレッソン版の主人公は内の世界に閉じ込める画家。テープに声を吹き込んで創作に励む。泣き叫ぶマストロヤンニのいかにもイタリア人な大袈裟さも好きだが。

ブレッソン版の黙々と作品制作に没頭する主人公のちょっと近寄りがたい感じも良い。「白夜」は正直男と女どちらの気持ちもわかるし、全然わからないところもある。そのズレの気持ち悪さが面白い。クライマックスの月を見上げるカットの美しさと残酷さ!とても見応えありました。感想終わり。