「ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」感想
ブリング・ミー・ホーム 尋ね人、みた。鄙びた漁村、抑圧される女性と子ども、相互監視のムラ社会…どこまでも自分勝手な大人たちの無様な姿に胸糞悪くなる映画だ。チョン・ジュリ「私の少女」やパク・ジョンボム「波高」を連想させる手触り。なかなかにどぎついパンチを喰らわせてくる。良作。
ポン・ジュノ「殺人の追憶」やイ・チャンドン「ペパーミント・キャンディー」でも印象的だが、韓国の田舎の警察官、やたら暴力的で倫理観がぶっ飛んでいる。正直またこのパターンかと思うが、ある程度のリアリティを持って受け容れられているということは、決してファンタジーではないのだろう。
悪徳警官のホン署長を演じるのは「梨泰院クラス」のラスボス、チャン・デヒでお馴染みのユ・ジェミョンである。相変わらず浅黒く脂ぎったツラで弱い者いじめをしてくる。俳優の名前はわからないが、漁村の奥さん二人もヒステリックでなんでも他責、ほんとうに不快だった笑 ねっとりした人間関係…。
悪徳警官のホン署長を演じるのは「梨泰院クラス」のラスボス、チャン・デヒでお馴染みのユ・ジェミョンである。相変わらず浅黒く脂ぎったツラで弱い者いじめをしてくる。俳優の名前はわからないが、漁村の奥さん二人もヒステリックでなんでも他責、ほんとうに不快だった笑 ねっとりした人間関係…。
「私の少女」や「波高」でもそうだが、声を上げる女性の存在は徹底して無視される。むしろ寄ってたかって彼女を否定し、「あなたはなにを言ってるの?とにかく落ち着きなさい」と。これはムラ社会に限った話ではない。社会一般に言えることだろう。この居心地の悪さ、悔しさを僕たちはよく知っている。
ユンスに対する仕打ちがかなり苛烈だ。池に蹴り落とす場面なんて、たとえ撮影であってもちゃんとフォローできてるのか?と心配になるほど。結構しんどいので苦手な人は覚悟した方がいいかもしれない。クライマックスの海辺のショットが美しかっただけに、エピローグは蛇足だった。終わりが残念。
「スリー・ビルボード」をやりつつ「わらの犬」的なツイストも加えるという。クライマックスが予想を超えなかったのが残念だが、中盤まではほんとうに面白かった。終わり良ければすべて良しのマインドなので、逆にオチが気に入らなかった本作は〈良作〉どまりかなあ。感想終わり。