映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ヴィタリナ」感想

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ヴィタリナ、みた。出稼ぎに行ったまま死んだ夫の部屋で暮らし始めたヴィタリナの物語。カラヴァッジオの絵画のように激烈なコントラストで魅せる。光の中に影があるというより、暗闇の中に陽が差しているかのようだ。一つひとつの絵が強すぎて物語にまで意識が回らなかった。というか少し寝た。

去年の東京フィルメックスで上映された作品だが、これもまた「女の受難」を描いた映画だった。もう何十年も会っていない、すでに死んだ夫の生きた証を拾い集める作業。それは愛を確かめる行為なのだろうか。痙攣する神父の手は、この村の男たちの弱さと罪の現れだろう。

がさがさと後ろで鳴り響く生活音が、この映画のリズムを作っている。ゆえに眠気を誘う。隣のオヤジは開始早々気持ちよさそうに寝息を立てていた。なんの変哲もないボロ屋に、あり得たかもしれない夫婦のつつましい同居生活を想像してしまう。終始薄暗いからこそ時折挟まれる昼日中のカットが印象的。