映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「彼女は夢で踊る」感想

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彼女は夢で踊る、よかった。閉館間際のストリップ劇場。支配人の木下は迫るラストステージを前に、とある踊り子との思い出を回想する…。分厚い鉄の扉の先に広がる幻想の世界、じりじりと命を燃やしながら舞うストリッパーの美しさよ。場所の記憶をめぐる映画にハズレなし。良作!

京大吉田寮裁判をモデルにした前田悠希「ワンダーウォール 劇場版」、激変する渋谷を描く宇賀那健一「転がるビー玉」、去年公開作だと消えゆく銭湯を舞台にした中川龍太郎「わたしは光をにぎっている」、カンボジアの集合住宅を描くドキュメンタリー、二アン・カビッチ「昨夜、あなたが微笑んでいた」

目新しくて綺麗なものが無条件に肯定され、経済を回すため、価値観のアップデートに追いつくに「古いもの」は切り捨てられていく。残酷な新陳代謝の中で取り残される者たちの苦悩。ついて行けない側の違和感、モヤモヤみたいなものをすくいとる映画が増えてきたように思う。