映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「とんかつDJアゲ太郎」感想

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とんかつDJアゲ太郎、みた。これは優秀な「渋谷映画」ですね。道玄坂から円山町まで見覚えのある景色の数々。下北沢や吉祥寺など井の頭線沿線舞台の作品は多くあれど、あのエリアを下町っぽく描くの初めてみた。オフビートな前半は山下敦弘、DJに目覚める以降は英勉でも見てみたい。結構お気に入り。

案外、福田雄一と相性いいかも?なぜこの題材で二宮健に託したのかは謎だ。特に前半のYouTubeのくだりは完全にまとめるのに失敗していて、物語の加速を邪魔している。そんなに面白くないし、仲間たちの掛け合いも噛み合ってないのでさっさと飛ばしてくれてよかったのに。

肝心のDJシーンはがっかりするぐらい盛り上がらない。まず選曲…。著作権の問題もあるかもしれないが、あれじゃ盛り上がらないだろうとクラブ経験ほぼない俺でも分かる。いちばんグッとくるのが揚太郎の妄想ダンスシーン。細かいカット割りで誤魔化してたけだ、北村匠海の踊りはもっと見たかった。

こう言っては失礼だけど、山本舞香を初めて可愛いと思った。シケた旅館の窓の向こう側、城に閉じ込められたお姫様みたいに謎めいていて美しい少女。二宮健作品は「チワワちゃん」もギャルが可愛かったなと思い出す。対して池間夏海は田舎の中学生みたいだが、朴訥な妹としてぴったり枠にハマってる。

あと伊藤健太郎。「惡の華」では童貞オタクだったが、こちらはカリスマDJ。この振り幅を作れるのは若手だと彼ぐらいでは。伊勢谷友介も、あのキツそうな顔立ちにもかかわらず、愛おしい情けなさと、妙な小物感の出し引きがうまい。つくづく二人の犯した過ちを残念に思う。勿体ない。

しばらく彼らのことスクリーンで見られないと思うと、やはり寂しい気持ちが残った。脇役ではブラザートムがいい。ひょうきんなオーラを出しつつ、どしっと締めるところは締めて大人の役割を果たすのが素晴らしい。「ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ」もよかった。換えの効かない役者。

地元の仲間たちのメンツも良い。加藤諒は安定として、浅香航大は最近サイコパス役が多かったので意外。栗原類はクラブをパーティ会場と勘違いしてタキシードで乗り込む場面、ギャグシーンなのにひとりだけモデルのオーラを隠しきれず、普通に歩く姿がキマってた笑 あとは渋谷の街。いい顔してる。