「無聲 The Silent Forest」感想
無聲 The Silent Forest、みた。東京フィルメックスコンペ作品。台湾の聾唖学校で起こった事件をもとに、閉鎖空間で起こる性被害の連鎖を描く。事前に聞いてはいたが、とってもストレスの強い映画だった。ここ以外に居場所がないから、事を荒立てたくなくて黙ってしまう。大人も責任を取らない。地獄。
テイストとしては去年フィルメックスでコンペ作品にあった「ニーナ・ウー」が近いだろうか。ひとつの事件をキッカケに、この学校の暗部が暴かれていく様は、ジャーナリスト映画の趣。それにしても台湾の青春映画ってじめっとしたの多いな。「怪怪怪怪物!」もなかなか陰惨だったが。
台湾の学校ってみんな寮制なんでしょうか。夜の寄宿舎でひっそりと行われるイジメは「牯嶺街少年殺人事件」を連想。しかし主人公が救おうとする少女があまりにかわいそうで…。乱暴されてるのに「友だちだから」とサッカーの遊びに参加する。大人にも打ち明けない。自分が我慢すれば丸く収まるのだと。
あとなかなか注目されないけど、少年の性的被害もじつはものすごく深刻で。とある人物が屋上の場面で漏らす本心に、この問題の性質がすべて詰まっていると思う。そしてラストシーン。思わずひやっとした。繰り返すがこれは「連鎖」の映画なのだ。この物語に終わりはない。