「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」感想
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY、面白かった。悲惨な境遇の人間がたくさん出てくるのに一切湿っぽくならず、最初から最後までポップでカラフルな世界観を貫いているのが良い。軽妙であるべき会話劇はテンションがヌルッとしていて失敗しているが、この話ならまあいいかと思わされる。
良くも悪くもテンションが一貫している。みんな最初から不幸なので、お話を面白くするために悲しい目に遭わされる人が出てこない。どんなコメディ映画でも終盤にシリアスモードを入れて緩急付けたりするものだが…。じつはこの映画でいちばん感情的で人間らしいのがヴィランのブラックマスクという笑
「小鳥」に裏切られた時に涙を流すブラックマスク。ユアン・マクレガーの演技が小物感を引き立たせるけど、さんざん冷酷な顔を見せながら、ひとりの背信に感情がぐらっと揺れてしまう。逆にいうとヒーロー側は地獄の底に加速しながら落ち続けているので、もはや多少のことでは動じないわけです。
「デッドプール」をやりたかったのか分からないが、正直、序盤の時系列シャッフルはただただダルい。全然話が前に進まない。場面をシャッフルしたり、主人公に第四の壁を破って軽口叩かせたからといって、オシャレな作品に仕上がるわけではないと、この映画は教えてくれる。
男=ブラックマスクが作ったルールによって女たちは窮地に立たされ、互いに対立することになる。彼女たちが与えられたミッションをこなしても、得をするのは男の方なのだ。仲間同士を分断し、戦わせることで利益を得る搾取の構造。だが、ハーレイたちはNOを突き付ける。現状打破には連帯しかないのだ。
アクションはカッコよかったけど、ちょっとワンパターンかもなあ。スローモーションはあんなに多用しなくても良かったと思う。あと個人的には「キック・アス」的な悪趣味キルを期待してたんだけど、思ったより控え目。まあハーレイちゃんはネジが飛んでるだけで悪者じゃないからなあ。