「ミセス・ノイズィ」感想
ミセス・ノイズィ、みた。些細な近所トラブルがマスコミやネット世論を巻き込む大騒動になっていく…。「騒音おばさん」事件がモデルと訊いて野次馬のノリで見に行くと冷や水を浴びせられる。壁一枚隔てた隣人ですら会話が成り立たないのである。いわんや赤の他人をや。粗い作りではあるが面白かった。
深田晃司「よこがお」や堤幸彦「望み」など、個人を消費するワイドショーやネット社会のグロテスな一面を描く映画は多いが、「ミセス・ノイズィ」もまた身につまされる映画になっている。消費される側もひとりの人間であるということ。軽薄な振る舞いのキャラがみんな若者なのはどうかと思うが。
「ミセス・ノイズィ」の肝はやはり脚本だと思う。構成がうまいし、このテーマを語るのに最適の選択であったと思う。主人公、夫、娘、お隣さん、お隣さんの夫…いろんな立場の人から切り取れる物語になっている。ところどころ冗長なセリフやよく分からないカットもあったけど、見応えある映画だった。