映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「佐々木、イン、マイマイン」感想

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佐々木、イン、マイマインをみた。ひさびさに響く青春映画に出会った。真夜中にゴミだらけの部屋でロクヨンをする佐々木の孤独は如何ばかりか。子どもの頃よく遊んでいたのに、大人になってから話が合わなくなった友人のことを思い出す。佐々木よ、さようなら。別れの痛みを糧に、僕たちは大人になる。

井伏鱒二の名訳「サヨナラだけが人生だ」のことばが脳裏をよぎった。おそらくもともとのニュアンスは旧い友人との別れを惜しむ情愛の詩であるが、僕はこれを恋人との別れや、徐々に離れていく友人との距離にも当てはめて読みたくなるのだ。佐々木にはそのままでいてほしい。でも、それでよかったのか。

佐々木と苗村の出会うカラオケの場面、すっごく良かった。二人にとってかけがえのない瞬間だったのだろう。その後を省略するのも品がいい。しかし、これを描くタイミングが残酷なんだよあ。苗村を演じる河合優実はこれから待機作もあるようなので、来年以降ブレイク期待ですね!

あと、萩原みのり演じるユキの別れの言葉ですよね。やさしさに傷つくってことがある。多田の言葉をかりれば「誰のせいでもない」。地元に残った佐々木、ずるずると同棲を続けてしまうユキ。悠二が前に進むためには、ふたりと「さよなら」しなければならない。まだ言葉にできない感情が渦巻いてる。