映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「花束みたいな恋をした」感想

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花束みたいな恋をした、みた。終電を逃した大学生が、ひょんなことから意気投合し、ほどなくして付き合い始めるが…。これは特定の人にはとにかく突き刺さるんじゃないだろうか。あそこまで美しくないとはいえ、いろんなところで思い出スイッチが入ってしまった。坂元裕二も残酷な話を書くものだ…。

しかし、京王線沿線はよく「青春」の舞台としてよく登場するなあ。又吉直樹原作「火花」や、玉田真也監督の「僕の好きな女の子」を思い出す。学生街、あるいは下宿先といえば…なのかもしれない。俺も大学時代は吉祥寺によく行っていた。だからあの高架の下を散歩する感覚もよくわかる。

お酒がなくてもファミレスでダラダラと終点までおしゃべりできる。早稲田松竹のプログラムで盛り上がり、好きな小説を語りあう。麦と絹にはおなじ景色が見えていた。あのグダっとした、もしかしたらいつまでも続くのかもしれないと思えた、大学生の時間感覚。彼らの生活にはカルチャーがあった。

しかし、時が経つにつれて、ふたりに見える景色にはズレが生じてくる。好きだったはずのものに興味を示さなくなる、あの頃は「イヤだよね」と笑っていた人間に、いつのまにか近づいている。気づいたらそこに居るのは他人なのだ。お話としてはベタだが、やはり坂元作品、ディテールの鬼だ。