「世界でいちばん悲しいオーディション」感想
世界でいちばん悲しいオーディション、みた。とにかく大人が怒り、18歳の少女たちが過酷な「試練」に立ち向かい、泣き…という90分なので、見終わったいまどっと疲れてます。デスソースのくだりなんて大学生のイッキ強要となにが違うのか。ドキュメンタリーとして退屈はしないが、内容が酷すぎですね。
過呼吸になるまでマラソンしたり、救急車寸前まで激辛ソース入りの夕飯たべたり、あげく摂食障害になるまで追い込まれたりしなくても、アイドルにはなれると思うんだけど。「自分を変えるため」「この試練を突破しないのは努力が足りない」というのは、大人の都合のいい嘘だと思います。
「悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46」や「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」みたいなドキュメンタリーは好きだし、裏側をのぞいてみたいという好奇心は否定しないけど、WACKと渡辺淳之介がやってるのは虐待だよなあ。なによりこれ見ても一ミリも応援したいと思わなかった。
岩渕監督はどういう視点で撮ってるんでしょうね。「泣いてる女の子見て笑う大人ばかり」という候補生のコメントを拾ったり、デスソース騒動で渡辺が表立って謝罪しなかったことを批判する声を作品に入れているのは、ある種、観客の違和感をフォローはしている。が、それ以上でも以下でもないかな。
デスソースで衰弱したメンバーが「やらせてください!」って言い出し、流石に不味くない?とまわりの大人が揉め出したとき、最後の判断を任された渡辺の「わ〜、めんどくせぇな〜」は乾いた笑いしか出なかった。これもまた公式のドキュメンタリーだから、どこまで素直に受け止めればいいのか悩むけど。
坂道のヒット祈願も、素直なリアクションとして心動かされることもありつつ、ひらがなけやきのバンジージャンプ企画なんてちょっと引いちゃう部分もあったんだけど、それすら可愛く見えてくる。WACKのドキュメンタリー評判いいから見たけど、想定以上に引いてしまったので次はないかな…。
WACKのアイドルなんて全裸PVを作ったり、毎年オーディションで激辛ソースを使ったり…という過激さをウリにしている節はあるし、応募する側もある程度知った上での話ではあるが、「本人の意思」だけでは収まらない問題でもあるとも思う。「18歳な女の子にこんなことする大人、まともじゃないよ」と。
そう思う大人も少なくはないはずだが、当事者である「夢見る少女」はどこまでそれを分かっているのだろうか。これ深掘りしはじめるとアイドル全体の話に波及しかねないので、あまり触れたくはないのですが、実際、考えなければならないことではある。でも、デスソースはないな…限度ってものが…。
俺個人の価値観からすると渡辺淳之介のやり方は許せないのですが、候補生にかける言葉がぜんぶ間違ってるとも思ってなくて。「刺身食べれな〜い」なんてふざけてる子を誰が応援するの、とか。努力しても報われない…というのは事実なんでしょう。ただ、アプローチがどう考えてもおかしいですけどね。