「ミナリ」感想
ミナリ、みた。1980年代のアーカンソーに移住してきた韓国人一家の日々を描く。良くも悪くもPlan Bの作品といった印象。まわりには誰も居ない、自分たちだけのエデンの園。寓意性に満ちた設定ながら、淡々と一家の生活をスケッチしていく。ディテールの積み重ねから明らかになる家族のズレが切ない。
ユン・ヨジョン演じる破天荒おばあちゃんを大好きになる。「チンチンが壊れた」を連呼したり、花札?で暴言を吐きまくったり。「クレイジー・リッチ」といい「フェアウェル」といいアジア系の家族を描く作品の軸がマジカルおばあちゃんになりがちなのはなにか理由があるのか…。
教会で子どもに言われる「なんで平たい顔してるの」とか、妙に雑な(おおらかな?)キリスト教の信者たちとか、一家をとりまく環境の不安定さ以上に、不穏な空気が映画全体を取り巻いている。観客はヴィア・ドロローサを再現する「変人」への住人たちの眼差しに不安を覚えたはずだ。
おばあちゃんの「お前は強い子だ」に対するデビッドの「おしっこの味はどうだった?」の会話が好き。きっと大人になっても大切な思い出として残るんだろう。この映画自体、目線が子どもなのだと思う。ファーストカットもデビッドの寝顔。そしてラストカット。すべてをデビッドの回想として見てもいい。