映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「パーム・スプリングス」感想

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パーム・スプリングス、みた。結婚式の夜を何万回も繰り返すループにハマってしまったナイルズと、そんな彼に巻き込まれたサラの物語。この手のタイム・リープモノは結論が決まりきっているので新鮮さはないのだが、コロナ禍で丸一年退屈な日々を過ごした自分には、改めて切実に感じられる映画だった。

「ブルックリン・ナイン-ナイン」でおなじみのアンディ・サムバーグが主演。彼はただひょうきんなだけじゃない。強くて優しい。そこが大好き。悲しみを知ってるがゆえの明るさ。ヒロインのクリスティン・ミリオティ、見覚えあるなと思ったら「モダン・ラブ」第一話に出てましたね。

語弊があるかもしれないけど、サラを演じるクリスティン・ミリオティは、ちょっぴり幸せにはなれなさそうな顔をしている。なにか抱えてそうだな、拗れがありそうだなと思わせる。不思議な魅力を持った役者だと思う。J・K・シモンズは安定。サイコな顔、家族を持つ父の顔、いろんな表情を見せてくれる。

パーム・スプリングス、サラがタイムリープに巻き込まれたときの絶望は、このコロナ禍に於いて違った意味合いを帯びてくる。もはやリゾート地ですらない、毎日暗いニュースばかり聞いて家に閉じこもっているこの日々の方が、ある意味地獄と言えるかもしれない。「ここでは全てが無意味」の言葉が重い。

タイムリープ系のロマコメといえば「恋はデジャ・ブ」が傑作だが、こちらが冬のペンシルベニアだったのに対し、本作は砂漠のリゾート地を舞台にしている。燦々と照りつける太陽や、ナイルズとサムの妙に肩の力の抜けたテンションが心地よい。とりあえず今を楽しむか、と思うのもわかるロケーション。