「ファイト・ガール」感想

ファイト・ガール、みた。EUフィルムデーズ2021にて。両親の別居や情けない兄に鬱憤をためるボーは、ある日、引っ越し先の団地でキックボクシングのジムを見つける…。自分にはどうにもならない理不尽とどう向き合うか。青春のモヤモヤをスポーツに打ち込み解消していく様は王道だがさわやか。良作！

主人公の女の子がとても華奢なので、あんまりボクシング強そうには見えないのだが、その鋭い眼光はまさに「虎の眼」であり、抜群の存在感を放っている。ムシャクシャする！って感情を隠さない。まっすぐな性格が丁寧に描かれていて良かった。兄のダニは少々イラつく鈍臭さがとても上手い笑

どこの映画かと思ったらオランダなんですねえ。北欧映画っぽいカラッとした空気感漂いつつ、フランスやイタリアの映画とは質感が違う。やはりドイツ映画に近いのだろうか。ケンカが止まない両親、問題ばかり起こすダニの糖尿病、そしてコントロールの効かない怒り。それでも暗い話にはならない塩梅。

やはりボクシング映画にはハズレがない。終盤に掛けての畳み掛けがちょっと拙速なので、そこ解決しちゃったの？と思うところもなくはないのだけど、団地の一角で起こるミニマムなヒューマンドラマとして見応えのある作品だったと思う。尺も90分以内だし。映画はシンプルに限ると改めて思う。