映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「アメリカン・ユートピア」感想

f:id:StarSpangledMan:20210612205409j:image

アメリカン・ユートピア、みた。ブロードウェイのショーを映画に再構築。スパイク・リーの名に引きずられて社会風刺を期待していたが、ブラック・ライヴズ・マターから人間の成長や老いに至るまで、思ったより幅広いテーマを扱っていた。中盤、眠気に勝てず陥落したが、クライマックスの熱量は圧巻。

話の本筋とは関係ないのだが、デイヴィッド・バーンに紹介されたパフォーマーが観客から万雷の拍手と歓声をあびる場面は、ちょっぴり切なかった。もはやコロナ禍においてそれは失われた光景だからだ。この一年、彼らはみんな元気にしているだろうかと、余計かもしれないが心配してしまった。

一貫したコンセプトのもと、もっとミュージカル風に進むものだと勘違いしていたので、思ったより純粋に音楽を軸に組み立てられたパフォーマンスに面食らったところはある。しかし、ダークグレーのスーツに身を包み、裸足でカーテンに囲まれたステージを駆けまわるシンプルなビジュアルはかなり強烈。

で、当たり前かもしれないけど、生演奏のバンドがすごく良かった。観客の熱がその音にも乗っている。激しいわけではないのに、圧倒的な勢いがある、というか。真ん中に立つデイヴィッド・バーンの品のよさが一層際立つ。しかしこれは是非とも生で見てみたいと思った。いつか日本でも…。