映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ビーチ・バム まじめに不真面目」感想

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ビーチ・バム まじめに不真面目、みた。酒!ハッパ!女!な放蕩生活を送りつづける天才詩人・ムーンドッグは、ある出来事をきっかけに無一文の危機に陥る…。すべてを「楽しめれば良い」に還元し、無意味にしてしまう男。なにもかも不道徳で狂っているのに、なぜこうもロマンティックなのだろう。

スヌープドッグやジョナ・ヒルマーティン・ローレンスザック・エフロンなど助演陣が豪華だ。マイアミの美しい夕日や抜けるような青い空、カラフルな衣装もすばらしいのだけど、この映画の肝は、じつは音楽ではないかと思う。やってることは酷いのになぜか甘美なのは美しい音楽のおかげだろう。

マシュー・マコノヒー演じるムーンドッグは、非常におっかない人物である。つねにハイで「世界は俺のためにある」とメチャクチャする。車寅次郎の強化版のような男だ。それでも時折やさしい目をするし、悲劇に立ち会っても折れないしなやかさがある。憎めない?かどうかはともかくその自由さは憧れる。

これは、亡くなった妻への鎮魂歌でもあるのだと、見ているうちに気付いていく。決して感傷に浸ることもなく、彼女の死に意味を与える事もしないのだが。人生、アレコレあるけど、それはそうそうとして楽しもう。勿体無いじゃないか。コロナ禍の今だからこそ響く内容と言えるだろう。