「海辺の金魚」感想
海辺の金魚、観た。小川紗良長編デビュー作。児童養護施設で暮らすふたりの少女の物語。手堅い映画だな〜と思ったけど、監督のカラーが出てくるのは次回作以降なのかな。どの要素もバランスがいいからこそ、全体的なインパクトは弱かったように思う。浜辺の夕陽のカットはとても美しかった。
「心に傷を負った少女たちの交流」という切り口は古今東西なんども擦られてきた定番であり、「海辺の金魚」から殊更フレッシュな勢いを感じることはできなかった。とてもスマートに撮られている分、一作目なんだしもっと賛否が割れるぐらいエッジを効かせてほしいとも思った。思ったより普通。
実在の事件からネタを引っ張るあたり、是枝イズムを感じたが。阿久根市のロケーションはとても良かったと思う。町が魅力的に見える映画に、悪い映画はないですよね。晴海役の女の子はこの地のオーディションで選ばれたらしいが、こんな逸材が埋まってるのかとびっくりした。笑顔がかわいい。
主演の小川未祐も複雑な背景を抱えた人物を、軽やかに演じていた。施設内のほかの子どもへの接し方や、大人との関わる様に、花のつよさや苦しみがにじみ出ていた。「よこがお」や「スペシャルアクターズ」に出ていたらしいが覚えていない。これを機にマークしよう。