「17歳の瞳に映る世界」感想
17歳の瞳に映る世界、観た。オータムの旅は行き当たりばったりで、観ている間ずっと不安だった。どうしてそっちを選ぶ?と何度思ったか。でも、彼女は自分で決断する、大きなカバンを担いでふらふらと前に進む。17歳の彼女はそうするしかなかった。彼女の心をこじ開けるのが「四択」というのが切ない。
「Never Rarely Sometimes Always」の原題は秀逸だ。たしかにこれを日本語に落とし込むのは難しいが、残念ながらこの邦題では食指が動かない。オータムは全然笑わない、冗談も言わない。舞台に立てばメス犬とからかわれ、家の中でも小さくなっている。妊娠を知って唯一はじめるのはピアスの穴あけだ。
16mmフィルムのザラついた映像で描かれるニューヨークはいかにも薄汚く、人が多くて疲れる場所に見える。ハリウッド映画が切り取ってきたような煌びやかさはそこにはない。この映画でいちばん印象的な風景は、おそらく「深夜の駅のエスカレーター」だろう。タイムズスクエアも自由の女神も出てこない。
この映画で描かれる「男性への嫌悪感」は凄まじく生々しい。自分もまたこの中に含まれる存在なのだと強く自覚しなければならない。スカイラーに絡むスーパーの客、マジックミラーの向こうの店長、そして、バスでふたりをナンパする青年。「いやお前には興味ねーから」って気付かない。気持ち悪い笑
特にナンパ青年、クネクネしながら「ダウンタウン行こうよ」とか「お酒飲まない?」って露骨にヤりたいオーラ出してくるのでゾワってしてしまう。少女たちにとってそういった性的な眼差しにさられるのが珍しくないことは、諦め悟ったような避け方から見て取れる。なんなら「来るぞ」って身構えてる。
オータムは妊娠しても親に相談できない。ニューヨークに行ってからもいくつかターニングポイントはあるのだが、いずれもノープランなのに「自分でなんとかする」を選ぶ。あまりに危なっかしい。この判断力の鈍さは、17歳の幼さとも言えるだろう。しかし、それ以上に彼女は「そうするしかなかった」。
オータムは妊娠しても親に相談できない。ニューヨークに行ってからもいくつかターニングポイントはあるのだが、いずれもノープランなのに「自分でなんとかする」を選ぶ。あまりに危なっかしい。この判断力の鈍さは、17歳の幼さとも言えるだろう。しかし、それ以上に彼女は「そうするしかなかった」。