映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「プラットフォーム」感想

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プラットフォーム、観た。何百層にも連なる地下牢獄、食べ物は上の階層の余りのみ…。あまりに直球な格差社会のメタファーだった。月に一度、階層がランダムに決まるという設定が肝だ。おそらく様々なところに文学的・宗教的モチーフが散りばめられているが、読み取りきれず。オチがちょっと安直では?

上に誰がいるか分からなければ、下に誰がどれぐらいいるか見当もつかない…という設定はいい。顔の見えない他人を慮れるほど、みんな余裕がない。上の階層であろうとムシャムシャ汚くごはんを食べる。ただ、現実には「管理者」なんて存在しない。これを単純に「格差社会」そのものと読むのは難しい。

だってここにいる人はみんな「管理されている人」だから。もうちょっと作品に寄り添って解釈するなら、結局「一層目」の人であろうと、権力に隷属し、振り回される側の「弱者」でしかないということだろう。「ブラック・ミラー」S1の「1500万メリット」の不透明さを連想した。

終盤のゴレンの戦いは、もはや善なるものへの祈りと言っていい。ただ、この世界の仕組みがいまいち釈然としないが故に、彼の戦略が正しいものなのか?(それはこの際問題ではないのかもしれないが)という疑念が拭いきれず。ひたすら不快感を煽る食事シーンと、バイオレンス描写はよかった。

この手のモチーフ自体は何度も擦られてきたものなので、なにかひとつ機体を上回るものがあるとよかったのだけど、ポスターから得た印象通りの作品だった。大きく感情が動かされることもなく、冷静に見れてしまったのは残念だった。もっと酷い地獄を期待してしまってたかも?わりと素直な映画だった。