映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「狐狼の血」感想

f:id:StarSpangledMan:20210731211635j:image

狐狼の血、観た。面白かったな〜。もはや「どっちがヤクザだよ」なマル暴。粗暴なベテラン刑事・大上と新入り・日岡の対比。日岡はガミさんの色に染まったんじゃない。先輩を越えたんだ。俺はどこか日岡が「ぶっ壊れる」のを待ち望んでいたのだとあとから気づいた。松坂桃李の二面的な演技が光る傑作!

「日本で一番悪い奴ら」とテイストは同じなのだが、より練度が増していると思った。大上にも日岡にも独自の美学がある。狐狼=大上=ライターの装飾だと思うけど、大上=オオガミ=狼…ってことはないですよね笑 役所広司は乱暴で、不道徳で、ムカつくけれど、どこか人間味と愛嬌を残すのがうまい!

松坂桃李は爽やかだが田舎臭い青二才と、芯まで神経が死に切った虚無の人とどちらも演じられるのがスゴい。「今ここにある危機と僕の好感度について」の主人公も良かったけど、順番的にはこちらが原点だったんだ。養豚場のキレちゃった日岡の顔、完全に振り切れちゃってましたね。ラストカットも好き。

全体的に映像がリッチだった。真木よう子が過去を語る回想パートはただの説明なので正直退屈なのだが、背景を夏祭りにすることで関心を引き留めている。クライマックスの石橋蓮司の場面、個室のトイレなのにぐるっと長回しで一周している。CGで処理しているのだろうか。とても臨場感があった。

竹野内豊のヤクザ役は珍しい。音尾琢真は安定。中村倫也の脇役っぷりには、そういえばこの頃(2018年)の彼はまだ器用貧乏で、こういう勿体無い使われ方ばっかりだったなと思い出す。なかなか良い終わり方をしたので、続編がどうなるかは気になるところ。イキ切った松坂桃李をもっと観たいね。