映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「パッチギ!」感想

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パッチギ!、面白かった。けど、ウェルメイドな作劇に感情乗せられまいぞと抵抗する自分もいた。60年代の高校生の目線から描く在日コリアンの女の子との恋愛。彼らの置かれる立場の過酷さは想像では語り得ないが、20年代のいま、この映画の雰囲気すら牧歌的に感じるのは自分だけだろうか。

パッチギ!は酒飲みながらぼんやり観てたので、細かくディテールを語れないのだが、この映画の暴力に対するまなざしは好きだ。ヤンキーたちの喧嘩はどこかアホらしくて、バスをひっくり返したり、サッカーの練習試合で乱闘になったり、コミカルなんだけど、その背景にはどす黒いモノが渦巻いている。

編集がとてもゼロ年代の邦画やってるな〜というテンポ感。チェドキに鉄パイプがぶつかる→葬式のカットの繋ぎの呆気なさ、前後の脈略をぶった切ってシュールな居心地の悪さに転化してしまうノリは、この頃の映画でよく観ると思う。最近の邦画だともうワンクッション置くんじゃないだろうか。

最終盤の大友康平の啖呵がこの映画のすべてですね。いま考えると北朝鮮に帰っても明るい未来はなさそうだけど、当時公開の映画「キューポラのある街」でも描かれていたように「漢江の奇跡」で韓国が経済成長を遂げるまで、北朝鮮の方が豊かだったらしい。サヨクの教師を光石健が演じている。