「ピクニック」感想
ピクニック、観た。ジャン・ルノワールがモーパッサンの小説を映画化した未完の中編。甘美な映像に反して残酷な物語。今の感覚で観ると少女に迫るふたりの不純さがおそろしい。最後のキスも嫌がってるのかと。白いドレスを身にまとい、陽の光を浴びてブランコを漕ぐシルビア・バタイユの無垢な美しさ!
いかにも「フランスのバカンス」なイメージの映像だ。それこそ父・ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」のように。やわらかい太陽のもと、草っ原の上にぽっかりと生まれた木陰に寄り添う。静かな川面を舐めるように撮るカットもすばらしい。これは本当に眼福と言うしかない。
最後のシーケンス、放埒な夫に疲れ切った少女は黒い服に身をまとっている。未完の作品とあってかシーンごとの繋がりがあやふやで、却って行間を読ませる、はかない作品として観る余地も残している。だが、これを「切ないラブロマンス」とは観られないかな〜。やはり体目当ての男ふたりが引っかかる。