「モンタナの目撃者」感想

モンタナの目撃者、観た。トラウマを抱えた森林消防員と、とある秘密を知り、殺し屋に狙われる少年。てっきりポリティカルスリラー系かと思いきや、大自然の脅威を描くサバイバルサスペンスだった。それなら「オンリー・ザ・ブレイブ」をもう一回観ればいいのではないかという思いが最後まで抜けず…。

直前に「サマーフィルムにのって」を観てしまったせいで、最後まであまり集中できなかったのが正直なところだ。既存のジャンル映画のパッチワーク的な物語の中に、たとえば殺し屋コンビの妙なくたびれ感や、身重のまま夫のために銃を取る妊婦など、ぴりっとスパイスが効いてくる。変な映画ではある。

エイダン・ギレンのなりふり構わない振る舞いに滲み出る「下請け」のプレッシャー。その相棒のニコラス・ホルトもまた殺し屋のくせして妙に人間味がある。冷酷に徹しきれず、いろいろ飲み込んで仕事してるんだろうとわかる。山に放火したときのリアクションを観ても、なんとなく憎めなさがあるのだ。

これだけ登場人物が少なく、舞台の展開も限られている中で、これだけ先の読めないサスペンスを作ってしまうのはすごい。箱庭的な設定のおかげで、なんとなく位置関係がつかめる仕組みになっている。しかし、ちょっとお話としては冗長かもしれない。アンジェリーナ・ジョリーのトラウマ設定もベタだし。