映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

Eテレ「私の欠片(かけら)と、東京の断片」

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岸政彦の「生活史」プロジェクトを追った「私の欠片(かけら)と、東京の断片」も観たけど、とても興味深かったですね。彼のエッセイ「断片的なものの社会学」がわりと好きなので、パーソナルヒストリーをあるがままに尊重する考え方に、なぜか安らぎを覚えた。

あくまで研究の対象として調査はするけれど、異なる他者が共存する、あり方そのものの価値を改めて尊いものとして受け止める、個々の存在をあるがままに肯定し、余計な解釈や意味づけを与えない…という態度は、ほんとうの意味での多様性に近いのでは、とすら思った。

ただ、一時間の番組内で紹介される彼らのヒストリーは断片的で、あくまで岸政彦の姿勢を紹介する、このたび刊行された「東京の生活史」の補助線的な内容だなとは思った。もう少しくわしく見たい、食い足りない…というのは正直なところだ。本読めばいいんでしょうけど。