「マスカレード・ナイト」感想
マスカレード・ナイト、観た。人を疑う刑事と人を信じるホテルマンがふたたびタッグを組む。肝心の仮面舞踏会の絵面がチープでガッカリしたが、足りないところを補い合うふたりの奮闘は楽しい。キムタクもおじさんになったなあと思いつつ、年相応の色気と若々しさに、改めて惚れ惚れとするのだった。
「大晦日の仮面舞踏会」という設定にワクワクしないはずがないだろう。しかし、ミッションの時限的な設定があまり生かされておらず、事件の全貌はぼんやりと示されたまま、緩慢に話が進んでいく。パーティーも一流ホテルの高級感はなく、雑多な印象を受けた。ハッキリ言って安っぽい。
「騙し絵の牙」の國村隼ヨイショパーティー(大泉洋と松岡茉優が対峙する場面)のほうがよっぽど色味のトーンも統一されているし、見応えがあった。あそこの仮面舞踏会は最高にカッコよく、キムタクが輝く舞台であるべきで。悪くいうほどでもないんだけど、もっと力入れて欲しかったなあと思う。
キムタクはキムタクだし、小日向文世は小日向文世、渡部篤郎は渡部篤郎を演じている。梶原善も梶原善っぽい役回りだ。そのほかホテルを訪れる珍客たちも、これまで俳優が演じてきた役のパブリックイメージに近く、あまり驚きはないのだけど、安定感はある。
新田と山岸が仕事人としてのリスペクト以上のところで共鳴している、惹かれあっている、しかし、それは必ずしも男女の感情を意味しない…という絶妙な関係性が「マスカレード」シリーズの面白さだし、肝だと思う。だから前作のおまけシーンはガッカリだったのだが、今回は若干そこは持ち直している。
あんまりそこをわざとらしく表現せず、あくまで困難に立ち向かう中で芽生えた絆…として演じるキムタクと長澤まさみはさすがだ。あいかわらず撮影も編集もちぐはぐだけど、そこは豪華俳優陣たちがしっかり裏から支えていた。また続編あるのかな?次はどうなるかも楽しみですね。