「ビルド・ア・ガール」感想
ビルド・ア・ガール、観た。試写にて。作家を目指すジョアンナは辛口音楽ライターとして雑誌デビューを果たすが…。若さゆえの全能感。はやくコイツを止めてくれ!と叫びたくなる痛々しさにそんな時期もあったと笑えるほど俺は青春したかなと。現役高校生の感想を知りたい。
「ブックスマート」のビーニー・スタインフェルドは28歳。兄のクリッシーを演じるローリー・キナストンの方が年下という笑 ビーニーの方が年上にしか見えず、最後まで違和感は拭えなかったが。しかし、彼女は声が可愛らしく、高校生役でも馴染んでしまう。クラスに一人はいそうな雰囲気。
ぱっと思い出すのはキャメロン・クロウ監督の「あの頃ペニー・レインと」。心の準備が整う前に、夢の世界に飛び込んでしまう。才能があれば認められるけど、学校みたいに誰かが見守ってくれるわけでもない。ジョアンナを心配する国語の先生はけっして「つまらない大人」ではないのだ。
しかし、そのありがたみに気づくのは時間が経ってからだったりする。この物語は実話をベースにしており、その後に主人公はコラムニストとして成功すると分かっているからこそ、彼女を取り巻く大人たちへの目線に「理解」がある。エゴで突っ走るじぶんを俯瞰して見つめる態度が一貫しているのだ。
この手の青春映画を観るたびに思うのは「ああ、そういう時期ってあるよね」という「大人」の目線の存在が、時に嘘臭く、真の意味での「青春」映画になっていないのではないか、ということだ。これを当事者である思春期の子どもたちが見たらどう思うのだろう。どうしても気になってしまう。
俺はもはや膨れ上がったおのれのエゴを愛でるような歳ではないと思うし、そうなると「男はつらいよ」の方がよっぽど観るべき青春映画なのではないか、とも思う。ジョアンナの背中は「誰もが通る道なんだから、心配するな」と語りかける。しかし、その重みは、通過してからでないと実感し難いものだ。