「MONOS 猿と呼ばれ者たち」感想
MONOS 猿と呼ばれし者たち、観た。人質を預かるゲリラ軍の少年兵たちの聖域が徐々に崩壊していく…。少年少女のイノセンスとエネルギーが逃げ道のない暴力に迷い込んでいく過程は、W・ゴールディング「蠅の王」を思い出す(豚の頭出てくるし)。誰が主人公かわからなかったが、ラストカットで納得。
朝靄に包まれた高原で少年少女がブラインドサッカーに興じるオープニングシークエンス。場所も時代も明かされない。彼らの言動を追ううちに、どうやらゲリラの支配下にある少年兵だとわかる。正直、話の輪郭がわかるまでは退屈だったのだが、「牛の管理」で揉めるあたりから俄然面白くなってくる。
去年末に同じイメージフォーラムで公開されて話題を呼んだブラジル映画「バクラウ」を連想した。テーマや話し運びに重なる部分が多い。しかし「MONOS」は、人間のよりプリミティヴで野生的な部分を描いている。理性や文明のメッキが剥がされたとき、人はどこへ向かうのだろう。
しかし、さすがにそれは危なくない?ってシーンが多数あってびっくりした。流れの早い川に飛び込んだり、ほぼ半裸で虫だらけの草むらを歩いたり。そういう「見せ方」なんだろうけど、終始泥まみれだし、過酷な撮影であったことに間違いはないだろう。相当見応えありますよ。どう撮ってるんだろう。