映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「肉体の冠」感想

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肉体の冠、観た。邦題が意味不明だが、原題の「Casque d'or」は娼婦の派手な髪型を指すらしい。因縁つけるロランやそれに応える主人公のマンダは気が短いし、裏で手を引くルカも薄情だ。気持ちの乗る映画ではなかったが、マンダの逃走から反逆への終盤は面白かった。てかギロチンっていつの時代だ?

シモーヌ・シニョレは独特の顔をしている。ギャングたちが彼女を取り合う、というのが最初はあまり理解できなかったのだが、ベッドの上でその過剰な髪をほどき、さらっと下ろした瞬間に見せる表情に納得させられてしまった。全然ちがう顔をするのだ。それはマンダ相手だからかもしれないけれど。

主人公を演じるセルジュ・レジアニは背が低いし顔も濃いしでイタリア人みたいだな、と思ったら、案の定イタリア出身の俳優だった。この作品においてそのニュアンスが反映されているのかは読み取れなかったが…。ロランが死ぬまでの前半はスピーディで気持ちいい。あれよあれよと裏社会に飲まれる。

ロランを殺してしまってから逃亡するまでのマンダの動きが素早い笑 前科者で、かつては彼もまたギャングだったからか。好きな女のために落ち着いた生活を捨て、ギャングのボスに復讐を果たす…という話ではない。だってマリーのためだったらわざわざ罪を重ねないでしょう。人情とか男のプライドの話。

正直マンダはなぜその道に突っ走るのか、そこそこで手を引けばいいじゃないかと思ってしまった。面白かったけど、ラストカットは蛇足。花畑の中を踊る二人って、ちょっと陳腐だ。正直、マンダがルカを射殺したところで終わってもいいと思った。そんなにマリーのドラマになってないしこの映画。