「ミュジコフィリア」感想
ミュジコフィリア、観た。偉大な音楽家を父にもつ異母兄弟の物語。うーん、これは音楽映画なのか、ご当地映画なのか、それとも群像劇なのか。どの要素も面白くなりそうなのに、ぜんぶ中途半端で終わった。しかし「すくってごらん」のように人によってどハマりするポテンシャルの映画ではあるだろう。
撮影も編集もかなり雑だなあという印象。さまざまな表情を見せる鴨川の景色や、貴志野家のお屋敷も、あまり上手く撮れているとは思えなかったし、会話シーンの切り返しのつなぎも違和感がある。なにより松本穂香の歌唱シーン。本筋も関係ないタイミングでミュージカルが始まる。あれは原作にもあるの?
本来は朔(井之脇海)と大成(山崎育三郎)のふたりに焦点を絞れば成立するお話なのに、凪(松本穂香)をメインにねじ込んだせいでバランスを崩してしまっている。朔と凪の距離が近くなっていく過程があまりピンとこなかった。だって朔はずっと父と兄への愛と憎悪でぐちゃぐちゃで、凪を見てないから。
終盤はみんな何かしらの理由で噛み合わず、うまくいかない苛立ちを誰かにぶつけるのだけれど、それがちょっと疲れる。怒鳴り合いのシーンが多い。しかし、朔と大成の物語の着地はとても好きだし、全体的にサッパリしていて爽やかな映画ではあった。辰巳琢郎だけコスプレ感すごくて笑っちゃったけど笑