「パーフェクト・ケア」感想
パーフェクト・ケア、観た。ひとり暮らしの高齢者を老人ホームに閉じ込め、資産を搾り取る「ビジネス」で財を成したマーラ。しかし、新たな「獲物」にはウラがあり…。詐欺師vsマフィア。どちらが勝っても最悪のバトルをたのしむ。途中から「もう二人とも勝手にしてくれよ!」ってなったけど笑
ロザムンド・パイクの役回りは「ゴーン・ガール」を連想せざるを得ないが、マーラはより邪悪な人間だと言える。あえて過去を描かず、彼女に親近感を抱かせない脚本が、この物語の寓話性を強めている。「どうせ世の中フェアじゃないし、私は勝ちに行くから」という開き直り笑
マーラが女性であること、冒頭「レイプしてやる!」と男に脅されること、彼女のビジネスがケア労働=介護であること(原題は「I CARE A LOT」)、フェアじゃない世界で、ルールをハックした戦いを仕掛けること…は、すべて繋がっている。悪巧みで結託する人たちがみんな女性で、敵が男性なのも示唆的。
「貞子vs伽倻子」よろしく「バケモンにはバケモン」の論理で、マーラに立ちはだかる男を演じるのはピーター・ディンクレイジ。わりと好んで悪役を演じている気がするが、どのキャラクターも色気があっていい。でかい口叩くわりには手下のやり方も杜撰で、何度も勝てる機会を逃している。少し間抜け。
正直、中盤ぐらいまではかなり面白くて、「ことしベストテン食い込むのでは?!」と興奮していたのだけど、話の風呂敷をたたみ始めたあたりから、トーンが落ち着いてしまったように思う。彼女たちが不屈で賢いというより、敵失でなんとか命拾いしたように見える。ゴールありきの都合を感じて冷めた。
しかし、ラストシークエンスは予想と違って面白かった。ここをどう捉えるかは人によるでしょうね。「女性映画」と捉えたら、不満があってもおかしくない。俺はオチ自体は好きだけど、だったらタネの撒き方は変えても良かったのでは?と思う。終盤の失速さえなければ…だけど、とても楽しめました。