「決戦は日曜日」感想
決戦は日曜日、観た。いやぁ〜、なかなかどぎつい風刺コメディだ。事なかれ主義の秘書と担ぎ上げられた二世議員の選挙戦を描く。あれもこれも見覚えのある光景。前半はコミカルだが、だんだんがんじがらめのシステムで固められた政治の世界のグロテスクさが浮かび上がる。視点の切り替えも見事!
序盤は窪田正孝の視点から「いやいや、この新人候補常識なさすぎでしょ」という笑いが中心。漢字は読めないし、候補者に語る言葉もペラペラ。しかし、いざ選挙戦…となってくると、不祥事はもみ消し、裏では札束が行き交いし、やっぱりこの世界がおかしいのでは?と。宮沢りえ視点に移行。
宮沢りえ演じる有美は、ヒステリックでとっつきにくい人間だと思ったが、案外、素直でチャーミングな人だとわかってくる。ぺこぺこと頭を下げながらも、裏では思い通りに他人を操ろうと動きまわる谷村。狂気と愛嬌を行ったり来たりする窪田正孝の演技!音尾琢真と小市慢太郎もいい味を出している。
とある理由でふたりが結託してからが面白い。どう考えても落ちるべき言動、不祥事を積み重ねているのに支持率は変わらない。顔の見えない「有権者」の不気味さ。コミカルに描かれているが、ゾッとする。笑えない。アダム・マッケイの作品みたいに露悪的だが、この手の作品が日本で作られるのは大歓迎。