「HOMESTAY」感想

HOMESTAY、観た。この手の自意識と向き合うお話は好みではないが、なにわ男子・長尾謙杜のフレッシュな演技は収穫だ。カラフルな世界を描く青春映画なら、そして瀬田なつき作品ならば、広島というロケーションを活かした映像が見たかった。観客は真や晶、美月先輩と「思い出」を共有すべきなのだが。

俺の持論として、青春映画は「場所」が作品のイメージと結びつくべきだと思う。瀬田なつき作品であれば「PARKS」は井の頭公園、「ジオラマボーイ パノラマガール」は晴海と渋谷…という「場所」に主人公たちが生きている。そういう感覚を共有することで、青春の葛藤がリアルに響いてくる。

「HOMESTAY」はそこが弱いと思った。広島である必要があまりない。美月先輩が瀬戸内海を眺めながらチャリを漕ぐシーンや、桜満開の通学路などは良かったが。たとえば「ジオラマボーイ パノラマガール」のPARCOのような象徴的ショットがもっとほしかったと思う。コロナ禍でロケに制約があったのかなあ。

なにわ男子・長尾謙杜は冒頭からナレーションがヘタクソで心配になったが、表情の演技がとてもいい。タイムリミットが迫る中、真の置かれた状況を知り、どんどん追い込まれていく。気持ちが昂っていく中での不安や怒り、焦燥感といった感情の表現は好きだった。道枝駿佑と共に今後の活躍に期待。

山田杏奈がひさびさに最初から最後まで「普通」なキャラを演じる。あまり自分のカラーを出せるような配役ではないと思うが、良かったと思う。八木莉可子はこれからに注目したいと思った。いい意味で素朴なマドンナ感（作中でも言及があるが）。親友を見つめる目が切ない。脚本がちょっとなあ。