「グッドモーニング、眠れる獅子」感想

グッドモーニング、眠れる獅子、観た。高岩成二のアクションに惚れる。くたびれた風貌を醸し出すのも上手ければ、覚醒後のヒーロー然とした佇まいもかっこいい。渡邉美穂はここぞという感情の爆発に持ち味があるのだと改めて気づく。ストーリーはＶシネ感マシマシ。

考え出すとあれもこれも足りねーだろって組み立てのストーリーだし、「舐めてた◯◯が…」の筋書きをなぞるのであれば、正直、ジャンル映画の面白さの研究が足りないのでは？と思わざるを得ないのだが。細かいことを抜きにすれば、動ける役者がちゃんとアクションをしている。そのことに意味がある。

渡邉美穂の演技について、あえて個人的な感想を述べるなら、素の声のトーンに力みを感じてしまう。それはバラエティやラジオでの彼女に多く接していればこそかもしれないが。声のトーンの機微をもっと見たい。小坂菜緒はありのままの自分を乗りこなしながら、そこにうまくキャラへの解釈を乗せている。

演技論の知識はないが、やはり、声にフィルターがかかっている。その幕を破った先に、観客の心を震わせる演技があると思う。逆に彼女の感情を爆発させる演技がパワフルで雄弁なのは、そういう「解釈」を超えた勢いがあるからではないか。そこを地のトーンに抑えたところにブレイクスルーがあるはずだ。