映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「私ときどきレッサーパンダ」感想

f:id:StarSpangledMan:20220512001607j:image

私ときどきレッサーパンダ、観た。傑作!ディズニー/ピクサーの「家族信仰」に楔を打ち込むエポックメイキング的作品。親の目から逃げられない息苦しさや、身体的変化への嫌悪を「どでかいレッサーパンダに変身する」というポップな設定で軽やかにスケッチ。ゼロ年代の空気も良い。Backstreet Boys

ナードな仲間たちとの痛々しいノリをそれでも肯定的に描いている。女の子の性欲もファミリー向け映画では許される限りで生々しく描いているのではないか。気持ちが乗っかっちゃってラクガキがどんどん派手になっていくのも、それが見つかってドタバタするのも、笑えるけど、同時に泣ける。

矢継ぎ早にギャグを詰め込んでいくテンションや、目がキラキラ〜って輝く様は、日本のアニメにツボが近いと思った。一部「オトナ帝国」を思い出す場面があったが、さすがにそれは思い込みか。それにしてもお母さんの無神経っぷりはなかなか。校庭侵入して「ナプキン忘れたわよ〜」はさすがにねえよ笑

舞台はトロント。あくまで主人公の目線から見える世界を描くから、ルーツは中華系だけれど、ガンガンにダンサブルな音楽が鳴り響く。出っ歯でメガネもアジア人のステレオタイプの範囲な気もするけど、美男美女が登場しないこの物語のキャラデザにおいて、ぎりぎり可愛らしいデフォルメとして許容範囲。

繰り返し、しつこいほどに「家族の絆」を描いてきたディズニー/ピクサーにおいて、この物語はその枠の中で、できる限り遠くまで羽ばたこうとしたようだ。親戚のめんどくさいしがらみや伝統とやらにはさして興味を示さないが、それでも、自らのルーツへの誇りや敬意は隠さない。うまい塩梅だと思う。

クライマックスの思わぬ見せ場。パーソナルかつミニマムなスケールのこの映画において、予想外の飛躍を見せるアクションに、俺は作り手のプライドを見た。私たちはこんな力を持ってる、受け継いでるんだ!と。もちろん、普遍的な見方もできる。内なるレッサーパンダの解放。とても好きなシーンだ。