「リコリス・ピザ」感想
リコリス・ピザ、観た。いやぁ、楽しかったねえ。くっついたり離れたりを繰り返すゲイリーとアラナ。だから展開も無軌道で、良くも悪くもつながりを欠くが、オープニングの二人の出会いの場面からずっと最高だ。アラナ・ハイムとクーパー・ホフマンはその佇まいだけで物語になってしまう。大好き。
リコリス・ピザ、いろんな映画が頭に浮かぶけど、それでもポール・トーマス・アンダーソン印の新作なのだ。ジョージ・ルーカスの「アメリカン・グラフィティ」、リチャード・リンクレイターの「バッド・チューニング」の系譜にあることはまず外せない。
その上でタランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のような楽屋オチ的小ネタが散りばめられているし、ハーモニー・コリン作品の能天気さも感じさせた。一方で、中盤以降はサスペンスの味わいもあり、石油危機など、これからの時代を暗示させる不穏さもある。