「ソー:ラブ&サンダー」感想
ソー:ラブ&サンダー、観た。ワイティティ節炸裂。楽しい。しかし、焦点がぼやけていて「もっと面白くなったのに〜」と思ってしまった。傲慢な神々は、富を独り占めする超富裕層のメタファーだ。C・ベール演じるゴッドブッチャーのヴィランとしての強度がこの映画にかろうじて一本の芯を通している。
神の座を降りたソーの成長は、エンドゲームの時点である程度済んでいる。「自分探し」は終わったのだ。最後の清算がジェーンだった。しかし、ジェーンはひさびさに登場したわりに描写が弱い。なぜ彼女はムジョルニアに選ばれたのか?もう少し深掘り、この映画の縦の軸にしてほしかったかも。
アクションは楽しい。冒頭のガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとの共闘。ぎりぎりマンガっぽさが勝る動き。「マイティ・ソー」一作目からだいぶ遠いところまで来たな。いちばん面白かったのは中盤。チャキチャキした動きとパワフルな打撃の迫力は、ザック・スナイダー作品を思い出す。300みたいな。
ラッセル・クロウが良かった。あのブヨっとした体の太々しさ。出番は少なかったが存在感がある。あとテッサ・トンプソン。いつだってヴァルキリーは最高。もっとジェーンとの絡みが見たかった。ソーの話で仲良くなれると思うよ。しかし、前半のストーリーのまとまりのなさが、後半に響いたのは残念だ。
ガーディアンズとの絡みは楽しいが、あれは全くなくても成立する。あくまでエンドゲームからの繋ぎでしかない。その尺でジェーンの話をもっと描けたのではないか?荒唐無稽さが加速し、収拾がつかなくなっていくMCUにおいて、観光地化したニュー・アスガルドの設定は良かった。ああいうディテールよ。