「幻の蛍」感想
幻の蛍、観た。両親の離婚により離れ離れにくらす姉妹が、ホタルを探しに行くひと夏の物語。大きな起伏はないが、たしかに、ゆっくりと変化していく。内向的な姉と、愛嬌ふりまく妹の距離感が面白い。こういう女の子もクラスに居たな、なんて思いながら。夢とか恋とか描かない青春映画も良いものだ。
フジテレビのヤングシナリオ大賞佳作をもとに、富山在住の新人監督が、オール富山でロケで撮影した作品。主演の野岸紅ノ葉は当然、富山でオーディションした新人女優。どこまで計算して組み立てたのかは未知数だが、たしかに、「いま・ここ」でしか出せないオーラを纏っている。
ご飯を食べる場面がいい。リアルな手触り。戯画化された「思春期の中学生」でもなく、かと言って、捉えどころのない場面でもない。きちんと、かなたの日常、かなただけの日常になっている。話は逸れるが、かなたが二日酔いの母に水を渡す場面のショット(菊池亜希子の手だけ見える)がお気に入り。