映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「蜜蜂と遠雷」感想

f:id:StarSpangledMan:20191012011645j:image 

蜜蜂と遠雷、傑作。コンクール会場でぶつかり合う天才たち。常人にはたどり着けない高みを目指す彼らの〈閉じた〉苦しみは共感を寄せ付けない。少しずつ手ざわりを確かめながら掴んだ感覚、舞台からの景色と雷鳴のように轟く拍手、世界と音楽に祝福される喜び。全てが一気に押し寄せるラストに身震い!

オープニングから心掴まれる。雨の中を走る馬のイメージから始まり、控室から舞台まで進む亜夜を背中から追いかけるカメラ。音楽とオーバーラップしたタイトルロールへ。なるべく言葉は使わず、映像とカメラで語る演出が好み。演奏中の亜夜の顔を写すのか、それとも背中だけ捉えるのか。

風間は荒削りな手の動きと無邪気な歓びの表情が中心。明石では演奏そのものよりも彼が背負っているものを写す。マサルは…なんでしょうね?印象的なのは、小野寺=鹿賀丈史の目線!各キャラの配置や性格を見るに、おそらく小説では膨大な背景の描写があるのだろう。若干の物足りなさは感じる。

シチュエーションとしてほとんどコンクール会場から動かない。密室サスペンスと言ってもいい。すべてがステージの上に集中している。ほんのり人物同士の関係性や人生は示唆されるが、亜夜以外に深くは立ち入らない。友情とかライバルとか、そういう話にならない。みんな〈最高の演奏〉をしに来ている。

どのエピソードもあくまで「私とピアノ」「私と音楽」「私と世界」であり、「私とあなた」は基本的には介在しないわけです。それでもエモーションを刺激される。ひたむきにピアノと向き合い、自分を削り、闘い続けた者にしか見えない世界がある。

神に祝福された青年・風間。彼がピアノを弾き始めた瞬間、会場全体に走る緊張感、マモルや明石の驚きと焦り…。突破口を見つけ、世界がひろがる快感に酔いしれるマモル。そして過去の呪縛から解放され、再び舞台に戻ってきた亜夜!あのラストは「セッション」の高揚感に近い。最高の終わり方。

「ジョン・ウィック パラベラム」感想

f:id:StarSpangledMan:20191010084202j:image

ジョン・ウィック パラベラム、面白かった!こんどは世界中の暗殺者に狙われる。とにかく〈ゲーム的〉楽しさに溢れている。TPS風のガンアクションが最高。超絶上手いプレイ動画を見ているような気持ち良さ。流れるような手さばきでコンボ技を決めていく。空間の遷移もオープンワールドみたいだ。

いちばん好きなのは「フグです。毒がある」とか言って切り刻んだ残骸みたいなフグの肉片を客に出すスシ職人です。それをそのまま食う方もどうかしてる。なかなかに狂気を感じる名場面だった。ニューヨークの真ん中で馬って飼われてるんだ!とか、ことごとく男の急所を狙う犬とか…動物ネタもキレキレ。

無限に弾薬ひろって銃に補填するあたり「メタルギアソリッド」を思い出した。僕の弟は「ポータブル・オプス」でジョン・ウィック並みにヘッドショットを決めまくってました。不思議とコントローラを握ってプレイしているかのような感覚に。ナイフ投げ合戦やベルト鞭打ちスタイルなど小道具も楽しい。

あとハル・ベリーのアクションもとてもよかった。彼女がアクションできるのは知ってたけど、ここまで激しく動けるとは。カサブランカのシークエンスは完全にキアヌを食ってしまう活躍と存在感でした。

 

「空の青さを知る人よ」感想

f:id:StarSpangledMan:20191015080107j:image

空の青さを知る人よ、傑作!音楽に打ち込むあおい、彼女を支えるあかね、突然現れた13年前の慎之介。生まれ育った町、まだまだ子どもの妹、好きだった彼…みんな何かに縛られて生きている。自分は何なりたい?ガンダーラは何処かにある?あおいは苦しむ。でもね、お姉さんは何が大切か知っているよ。

まずオープニングから良い掴みになっている。イヤホンで外界を遮断するあおい。ベースの練習に全神経を集中するが、フラッシュバックするのは13年前の楽しかった頃の思い出。作品の背景をさらいつつ、彼女が音楽に何を求めているのか?この秩父という町で何にもやりを抱えているのか?一気に片付ける。

13年前の理想的な「しんの」と、いろいろなものを諦めて自分を支えてくれたあかね。いずれ終わるのは見えている恋心と、大好きなお姉さんの幸せ。ほんとうは自分が何をしなくちゃいけないのか。わかっているのに素直に伝えられない、やり場のないイライラを大切な人にぶつけてしまう。

そこらへんのあおいの葛藤はストレートでよかった。若山詩音の演技もフレッシュで瑞々しい。13年前の慎之介というファンタジー設定はあれど、基本的に描かれていることはシンプル。変なひねりはない。一方、予想外に響いてくるのが大人パート。大きな夢を語り合った仲間たちの現在。現実はこんなもの。

でも、納屋の奥で錆びついたギターみたいに、あの頃に置いてきたまま、実は忘れられないでいる想いがある。あの時あの選択をしていれば…と思わずにいられないのが人間の弱さ。大人は歳を重ねた分だけ、後悔も経験している。側から見れば「情けない大人」に映るかもしれない。

何かを選ぶということは、何かを捨てるということでもある。あおいからすれば「縛られている」のかもしれないが、それもまた選択の結果。自分でその道を進むと決めたのだ。もちろん、後から悔いることはあるだろう。でも、だからといって幸せじゃないわけじゃない。自分にしか見えない青空があるのだ。

一人二役吉沢亮は最高の演技。実写でやるよりうまいのでは?と一瞬思ったが、もはや顔だけの役者じゃないぞ!ということなのかもしれない。吉岡里帆もあのほんわかした優しい声を生かしたキャラ作りがすばらしかった。あおいといる時と慎之介といる時で微妙に声の雰囲気違ったり。かなりうまい。

本田翼が天気の子のインタビューで「もう年齢的に大学生の役は厳しいけど、声のお芝居だと可能になる。新鮮で面白かった」的なことを言ってて、なるほどなと納得したことがある。今回の吉沢亮吉岡里帆もそれで。表現から肉体の演技の自由を奪われる=アニメ化されるからこそ生まれる奥深さがあった。

「肉体がないからこその自由」もあるのだと。じっさいのところアニメのデザインや動きが演技のウェイトの大半を占めるわけで、すべてを役者の名前で語るのは難しいとは思うが。なにかと叩かれがちな「非本業」の声優起用だけど、異なる味わい方を知れた気がする。

「あなた買います」感想

f:id:StarSpangledMan:20191002204234j:image

あなた買います、みた。実際に起きたプロ野球選手争奪戦に着想を得たお話。スターの進路が「ビジネス」になる世界。岸本と球気の攻防!ひとを商品として扱う醜さよ。一方で「人としての付き合いをしたい」に滲む葛藤。苗子が清涼剤。彼女の「騙されたフリしてあなたがみんなを利用してる」が刺さる。

伊藤雄之助がいい。取っ付きにくそうで、あまり信頼できない顔つき。一方でラストの弱々しい表情。良い言い方かわからないけど、バケモノじみた存在感があった。苗子だけが唯一ふつうのバランス感覚の持ち主のように思える。栗田がみんなの食い物にされていく。本人も変わってしまった。その失望よ。

見やすくはあるのだが、映像的におもしろいとは思わず。こういうのは実際にプレーしてるところを見せてくれないと。新聞の記事どどーんと写して終わりって、やっぱり情報出してるだけでつまらない。これもわがままな望みとはわかっているけど、もっとそこは迫力がほしかった。

「四月は君の嘘」感想

f:id:StarSpangledMan:20191006230425j:image

四月は君の嘘、全話みた。かをりが公生を呼ぶとき、「公生くん」でも「あなた」でもなく「君」なのがいいですね。近づき過ぎない距離感。それぞれの想いが交錯するコンクールは毎回ドラマティック。群像劇としても見応えがあるが、俺はどうしても椿の目線で見てしまった。どうか幸せになってください。

早熟の天才、かわいい幼馴染がいて、母親との確執に苦しめられている有馬くん。あまりに主人公的すぎる主人公だけど、それでもバランスを失っていないのは、このアニメが彼を周りから見ているから。エピソードごとに異なる人物の目線が持ち込まれる。だからこそドラマが深まる。良いアニメでした。

「これは経費で落ちません!」感想

f:id:StarSpangledMan:20191006022110j:image

これは経費で落ちません!、全話みた。面白かった!真面目すぎてもはや堅物の森若さん=多部未華子がかわいい。キスの前にリップ塗ったり…笑 天天コーポレーションの仲間たちもチャーミングで愛せる。角田(東京03)と吹越満の小競り合いが毎回楽しみだった。お仕事ドラマとしてもグッドです。

重岡大毅ジャニーズWEST)の「いいヤツ」演技は鉄板。「宇宙を駆けるよだか」も良かったけど、安定している。江口のりこ伊藤沙莉のコメディエンヌっぷりも良い。会話のテンポ感で笑える。あんまり悪い人も出てこないし、基本1話完結なので、安心して見ることができた。続編作ってほしい。

「歴史から消えた小野小町」感想

f:id:StarSpangledMan:20190929204700j:image

歴史から消えた小野小町、みた。ムーラボ&カナザワ映画祭出品作品。秋田の地で小野小町の人生をたどる短編コメディ。監督の好きがたくさん詰まった、なかなかに混沌とした作品。人柄がでてる。ただ、正直あまり興味なかったので、早く終わらないかなと思ってしまいました…。パロディの笑いも古いし。