映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「マスカレード・ナイト」感想

マスカレード・ナイト、観た。人を疑う刑事と人を信じるホテルマンがふたたびタッグを組む。肝心の仮面舞踏会の絵面がチープでガッカリしたが、足りないところを補い合うふたりの奮闘は楽しい。キムタクもおじさんになったなあと思いつつ、年相応の色気と若…

「スイング・ステート」感想

スイング・ステート、観た。さびれた田舎の町長選にワシントンの選挙参謀が乗り込み、民主党vs共和党の代理戦争へと発展していく。テーマをとあるキャラに語らせてしまうので品がいいとは思わなかったが、十分に楽しんだ。参院広島に於ける菅vs岸田の金にま…

「アナザーラウンド」感想

アナザーラウンド、観た。冴えない中年教師が、職場の仲間といっしょに「ほろ酔いで仕事をすればうまくいくのではないか」と実験をはじめる…。たしかに考えたことあるけど、その年でホントにやるなよ!って思うけど、バカバカしさとおじさんの切実さのバラン…

「アイダよ、何処へ?」感想

「アイダよ、何処へ?」観た。1995年のボスニアで起きた「スレブニツァの虐殺」を現地人通訳の視点から描く。これからどうなるか分からない。なのに、死は確実に近づいている。国連から見捨てられた人々の恐怖が生々しく伝わってくる。この事件のことを知れ…

Eテレ「私の欠片(かけら)と、東京の断片」

岸政彦の「生活史」プロジェクトを追った「私の欠片(かけら)と、東京の断片」も観たけど、とても興味深かったですね。彼のエッセイ「断片的なものの社会学」がわりと好きなので、パーソナルヒストリーをあるがままに尊重する考え方に、なぜか安らぎを覚えた…

ノーナレ「お父さんのねぶたがいちばん好き」(NHKドキュメンタリー)

NHKのノーナレ「お父さんのねぶたがいちばん好き」がすばらしかった!最近映画館で観たどの映画よりも好き。ねぶたの町で生まれ育った10歳の女の子を追うドキュメンタリー。コロナ禍で二度目の中止を迎えたねぶた祭り。それでも希望の灯は消えないんだと確信…

「レミニセンス」感想

レミニセンス、観た。水没したマイアミのビジュアルがすばらしい。謎めいた美女をめぐる物語はどこかレトロで、あまり新鮮味はないのだけど、たまにはいいよね。ヒュー・ジャックマンとレベッカ・ファーガソンの座組は豪華だが、変にノーラン感を出さず、低…

「パリ、テキサス」感想

「パリ、テキサス」観た。荒野をさすらう記憶喪失の男・トラヴィス。弟に連れられ、息子と再会するが…。まっさらな砂漠が解放的で、また、空っぽの寂しさもある。所狭しと高層ビルの立ち並ぶヒューストンとは対照的だ。トラヴィスにはもう「漂う」選択しか残…

「ミステリー・トレイン」感想

ミステリー・トレイン、観た。エルヴィス・プレスリーの聖地メンフィスを舞台に、とあるホテルですれ違う三組を描く。銃声のくだりで引っ張って引っ張って…それかい!ってなるラストカット。「そんなもんでしょ?」なスカし方に、ジャームッシュの洒落っ気を…

「コロンバス」感想

コロンバス、観た。去年劇場で観てたらまちがいなくベストテンに入れてました。モダニズム建築の街で、人生の岐路に立った男女が邂逅する。時間の流れを感じさせない、ガラスとコンクリートの無機質な建物を温かみのある色合いで捉えた映像美。かえってふた…

「モンタナの目撃者」感想

モンタナの目撃者、観た。トラウマを抱えた森林消防員と、とある秘密を知り、殺し屋に狙われる少年。てっきりポリティカルスリラー系かと思いきや、大自然の脅威を描くサバイバルサスペンスだった。それなら「オンリー・ザ・ブレイブ」をもう一回観ればいい…

「サマーフィルムにのって」感想

サマーフィルムにのって、観た。すばらしい!伊藤万理華がスクリーンを縦横無尽に駆けまわる。観客が彼女の存在を知り、好きになる。それだけで映画としての役割を九割果たしていると言っていい。不機嫌そうに背中丸めて歩いてたハダシが、全身のエネルギー…

「ラ・ポワント・クールト」感想

ラ・ポワント・クールト、観た。アニエス・ヴァルダはいまの俺と同じ26歳のときに故郷でこの映画を撮ったらしい。ヌーヴェル・ヴァーグの先駆け。ベルイマンにも影響を与えたらしい。勿体つけた会話劇はともかく、映っちゃいけないものが見えそうな不穏さが…

「ダゲール街の人々」感想

ダゲール街の人々、観た。パリ14区の生活をスケッチしたアニエス・ヴァルダによるドキュメンタリー。モンタージュで紡がれる職人たちの手さばきがとにかく美しい!パンをこねる手、仔羊のモモを切る包丁の動き、お店のシャッターを閉じる腕…。霊的な厳かさす…

「恋する惑星」感想

恋する惑星、観た。香港の街角ですれ違う男女の恋をカラフルに描く。じっとり汗が肌に張りつく湿度と、こだわりに溢れたキュートなファッションと、猥雑でパワフルな香港の街並みと。恋の魔法にかかったような高揚感が一本の映画に詰め込まれている。これは…

「正しい日 間違えた日」感想

正しい日 間違えた日、観た。同じ出会いから「うまくいかなかったルート」と「うまくいったルート」を前後半で描く。ホン・サンスは「次の朝は他人」でも同じことをやっていたが、本作の方がよりシンプルで面白かった。人生のIFはどこに潜んでいるかわからな…

「ピクニック」感想

ピクニック、観た。ジャン・ルノワールがモーパッサンの小説を映画化した未完の中編。甘美な映像に反して残酷な物語。今の感覚で観ると少女に迫るふたりの不純さがおそろしい。最後のキスも嫌がってるのかと。白いドレスを身にまとい、陽の光を浴びてブラン…

「耳をすませば」感想

耳をすませば、観た。ジブリ映画の中で一二を争うお気に入りかもしれない。夢を追う青年と出会い、地球屋で世界の広さを知る。汗かきながら登ったコンクリート・ロードの果て、丘の上から見る景色は、ふたりの未来を祝福するかのように解放的だった。「結婚…

「パッチギ!」感想

パッチギ!、面白かった。けど、ウェルメイドな作劇に感情乗せられまいぞと抵抗する自分もいた。60年代の高校生の目線から描く在日コリアンの女の子との恋愛。彼らの置かれる立場の過酷さは想像では語り得ないが、20年代のいま、この映画の雰囲気すら牧歌的…

「エクソシスト」感想

エクソシスト、観た。もっとホラー然としてるのかと思いきや、淡々とした緻密な描写が面白い作品だった。悪魔に取り憑かれたリーガンを神父に預けるまでに一時間!現代医療で解明できずたらい回しにされる過程を減るからこそ、後半の超自然的な現象のおぞま…

「おもひでぽろぽろ」感想

おもひでぽろぽろ、観た。アラサー差しかかった会社員が、十日間の暇をもらって田舎の親戚の家を訪ねる。その道中で思い出される五歳の記憶はどれも「子ども心に納得いかず、それでも我慢して飲み込んできたこと」。タエ子の悩みはすごく刺さりましたね。過…

「シャン・チー テン・リングスの伝説」感想

シャン・チー テン・リングスの伝説、観た。アクションの面白さはMCU屈指だろう。しかし、わりと思い切って世界観を広げてきたなと。悪く言えばだいぶリアリティラインが下がった。貴種流離譚として描くにしてもお話の組み立てがまどろっこしく、物語が格闘…

「岬のマヨイガ」感想

岬のマヨイガ、観た。中身知らずにほんわか日常系アニメだと思って観たので、いい意味で裏切られた。「迷い家」伝承をモチーフに、震災で傷ついた少女が逞しく成長する様を描く。死を直接描かないが故に、霊的な存在がその虚しさを際立たせる。羊文学の曲が…

「体操しようよ」感想

体操しようよ、観た。定年退職で生きがいを失ったシングルファザーが、ラジオ体操を通してさまざまな仲間に出会う。散りばめられた伏線はほぼそのまま回収されるので面白みはないのだが、とても丁寧かつ優しいつくりで観賞後は爽やかな気持ちになる。年取っ…

「オールド」感想

オールド、観た。異常なスピードで時間が進んでいくビーチで起こる事件を描く。スリラーの醍醐味を存分に楽しんだが、どうしてもコロナ禍と重ねてしまうところがあった。無為に時間が過ぎていく中で、その手からこぼれ落ちていくもの。しかし、それでも…と、…

「孤狼の血 LEVEL2」感想

孤狼の血 LEVEL2、面白かった。沈没する船を修復しながら進むかのように、秩序を維持するために東奔西走する日岡。保身に走る人間が大半の中、ひとり大暴れする上林!誰か早くコイツを止めろ!とスクリーンの前でもどかしかった。上林=鈴木亮平が良かっただ…

「白頭山大噴火」感想

白頭山大噴火、観た。北朝鮮国境の火山が大噴火!朝鮮半島の崩壊を止めるために核弾頭を盗み出せ…!という、いまどきハリウッドでもやらない懐かしいノリのディザスター映画。ふたりの男の友情に、南北融和への希望を見る。話せばわかるはず、同じ民族なのだ…

「アーヤと魔女」感想

アーヤと魔女、観た。意地悪な魔女のもとに引き取られたアーヤの奮闘を描く。スクリーンに映される出来事よりも、その余白にこそ面白さがある映画だと思った。ほとんどがおうちの中で展開されるミニマムな味わいも悪くないが、ちょっと贅肉を落としすぎて骨…

「ヒトヲモウ」感想

ヒトヲモウ、観た。ndjc2006作品。夫を失った靴磨きの女性を描く7分間のアニメーション。つかみの描写から読み取れる内容でそのまま最後まで走ったので逆に驚いてしまった。当時やってた日清の「FREEDOM」を思い出す手触りの映像で、ちょっとばかり懐かしさ…