「パリ、テキサス」感想
「パリ、テキサス」観た。荒野をさすらう記憶喪失の男・トラヴィス。弟に連れられ、息子と再会するが…。まっさらな砂漠が解放的で、また、空っぽの寂しさもある。所狭しと高層ビルの立ち並ぶヒューストンとは対照的だ。トラヴィスにはもう「漂う」選択しか残されていないのかなあ。
赤のモチーフが印象的だ。砂漠をさまようトラヴィスのキャップ。息子と旅をするときは揃って赤い服を着る。再会したジェーンはピンクのセーターを身に纏っていたし、トラヴィスが旅に出るきっかけになる、アンとの会話シーンでは、赤い光がふたりの顔を照らしていた。
ハンターがトラヴィスについて行きたくなる理由、アンの会話を聞いてしまったり、ほんとうの母に会いたくなったり、いろいろあるんだろうけど、トラヴィスのカギカッコ付きの「自由さ」に惹かれたのではないか、と思う。帰り道、道路を挟んで向かいの歩道を並んで歩くたのしさ!
トラヴィスが喋り出すまでに30分近く尺をつかっている笑 最終的な彼の選択は、もっとやりようがあっただろうとは思う。しかし、みんなして「今更それ言われてもなぁ…」ってことを言い出すし、時間の経過で癒やされることもあれば、永遠に失われてしまうものもあって。トラヴィスの愛とは?を考える。
ヒューストンの高速道路を走るラストカットがいい。その直前の夕日も美しかった。車の流れの中に埋もれていく。もう彼には会えないのかもしれないけど、きっとどこかで生きているんだろうとは思う。とても良質なロードムービーを見られた!