映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「フリー・ガイ」感想

フリー・ガイ、観た。自我に目覚めてしまったゲームのモブキャラの話。「なんの特徴もない人間が主人公になる」テーマはよくあるし、結論も新しくはないのだけれど、あえて類似作のオマージュを散りばめ、それらを相対化することで、一歩先の世界を見せてく…

「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」感想

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~、観た。耳が聞こえなくなり、音楽という生きがいを失ってしまった男の物語。世界から音がなくなったのではなく、静寂を手に入れたのだ。この考えに至るまで、どれだけたくさん傷つき、絶望する必要があるのだ…

「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」感想

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結、面白かった。ジェームズ・ガンのウェットに寄せた作劇が好きになれないんだよな〜と思いつつ、無意味な殺戮に立ち向かう決死隊の生き様には、やはり滾るものがあった。ゴア描写もハリウッド大作ではひさびさの満…

「ドライブ・マイ・カー」感想

ドライブ・マイ・カー、観た。面白かった〜!!自分を演じてウソをつくこと。そして、他人を演じて自己を解放すること。妻を失った劇作家の孤独な魂は、人と人が交わる空間で起こる「奇跡」の果てに、救済される。演じることの事件性と、理解し得ない他者と…

「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜ファイナル」感想

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜ファイナル、観た。美男美女による表情筋運動会。お互い「好き合っている」のはわかってるから、なかなかドキドキするような駆け引きにならない。前作に比べるとパワーダウンかなぁ。ただ、エンディングのダン…

「クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園」感想

クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園、観た。五歳児のしんちゃんたちがお受験で格差社会と成果主義に絡めとられる…というドギツい風刺に面食らいつつ、学園ミステリーの謎解きを楽しみ、個性豊かなアウトサイダーに笑いながら、最後、突き抜けるような…

「庵野秀明+松本人志 対談」感想

「庵野秀明+松本人志対談」観た。新鮮な組み合わせではあるが、企画者や品川祐がふたりの化学反応に期待してこの対談をセットしたのであれば、残念ながらその目論見は失敗している。ただ、平行線をたどりながらも時折おとずれる交歓が興味深い。 松本人志が…

「モダン・ラブ」シーズン2第7話「僕のこと覚えてる?」

モダン・ラブ S2-E7「僕のこと覚えてる?」観た。なかなかオシャレな構成のお話。特別な夜を過ごし、すれ違ってしまった二人がニューヨークの街角で再会する。原題の「How Do You Remember Me?」の方が良い。異なる視点(微妙に見え方が違う)から描くなら小…

「モダン・ラブ」シーズン2第6話「こじれた夫婦の待合室」

モダン・ラブ S2-E6「こじれた夫婦の待合室」観た。妻の不倫相手の奥さんとメンタルクリニックの待合室でばったり出会ってしまった男の物語。ちょっと前に進んでは後退して…のかけ引きが切ない。相手の心に踏み込みすぎず、じんわりと温かみに溶け合うような…

「モダン・ラブ」シーズン2第5話「本当の私は心理テストでわかるかも」感想

モダン・ラブ S2-E5「本当の私は心理テストでわかるかも」観た。スマホの心理テストで「私は同性愛者か」を日々チェックするケイティ。そんな彼女の前に、同じアニメの話で盛り上がれるアレクサが現れ…。みずからのセクシュアリティで揺れる少女の着実な一歩…

「モダン・ラブ」シーズン2第4話「ひとりよがりの未来予想図」感想

モダン・ラブ S2-E4「ひとりよがりの未来予想図」観た。「親友」に片想いしてしまったリラの物語。これまでに比べると地味といえば地味だし捻りはないんだけど、ブルックリンという舞台設定が良いスパイスになっている。海の向こうに摩天楼を望むふたりだけ…

「モダン・ラブ」シーズン2第3話「(ダブリンの)見知らぬ乗客」感想

モダン・ラブ S2-3「(ダブリンの)見知らぬ乗客」観た。2020年3月、ダブリン行きの列車で出会った男女は、二週間後にこの駅で再会することを誓うが…。ジョン・カーニーが描くコロナ禍(直前の)ラブ・ストーリー。思わぬ結末。最終回でキシェロフスキの「ト…

「モダン・ラブ」シーズン2第2話「夜の少女と昼の少年」感想

モダン・ラブ S2-E2「夜の少女と昼の少年」観た。傑作!病気のせいでみんなが寝静まった夜にしか起きられない女性と、そんな彼女に真夜中のダイナーで出会った男性のラブロマンス。ふたりのデートはいつも夜のニューヨーク。この設定だけで最高にロマンチッ…

「モダン・ラブ」シーズン2第1話:感想

モダン・ラブ シーズン2第1話、観た。ジョン・カーニー監督回。八月ににしては肌寒いこの夜にちょうどいい温かさだった。オンボロだけど手放せないスポーツカーの物語。モノに染み付いた思い出や匂いってあるよなあ。その想いは他人と共有できないからこそ…

「スパイラル ソウ オールリセット」感想

スパイラル ソウ オールリセット、観た。試写にて。ソウ・シリーズの最新作。これが初めての鑑賞だっだが、おもしろかった。ゴア描写は思ったよりふつう(とはいえそれなり)なので、たぶん初心者向け?なのだろう。しかし、サミュエル・L・ジャクソンがこの…

「お転婆三人姉妹 踊る太陽」感想

お転婆三人姉妹 踊る太陽、観た。ペギー葉山、芦川いづみ、浅丘ルリ子によるミュージカル劇。フランキー堺のずば抜けたエンターテイナーっぷりが光る。モノクロ版フィルムしか現存しないのが残念。終盤唐突にはじまるレヴューも本来はもっとカラフルで面白か…

「パニック・ルーム」感想

パニック・ルーム、観た。深夜に忍び込んできた強盗と隠し部屋で籠城する親子のサスペンス。わりと犯人が間抜けだし、お話自体に予定調和感は否めないけど、デヴィッド・フィンチャーの職人的な撮影・編集のワザが光る映画だったと思う。意識して観るともの…

「エル ELLE」感想

エル ELLE、観た。この物語は、突然自宅で暴漢にレイプされたミシェルが、淡々と壊れた皿のかけらを拾い集めるところから始まる。ミシェルの言動はつねにこちらの予想から半歩ズレている。その読めなさがサスペンスなのだ。徹頭徹尾「ミシェルはあなたではな…

「人魚伝説」感想

人魚伝説、観た。ウワサに聞いていたがすさまじい映画だ。夫殺しの濡れ衣を着せられた海女が復讐の鬼と化す。もはや人間とは思えない鬼の形相で槍をふり回し、真っ白な服は血に染まっていく。もはや誰でもいいと言わんばかりに血塗れで大殺戮をくり広げるラ…

「シンドラーのリスト」感想

シンドラーのリスト、観た。醜悪な権力者と虐げられる民衆、その中でいかに「善いこと」をするべきかというシンドラーの葛藤は、人類最悪の戦争犯罪と単純には比較できないとはいえ、コロナ禍の我々にも響くものがあった。わりと低予算らしいが、人だかりの…

「殺人狂時代(1967年)」感想

殺人狂時代、観た。ナチスの残党とマッドサイエンティストが殺人狂を世に放つ。彼らに狙われたのは水虫に悩む中年・桔梗だったが…。「ゴージャスな殺人」とか「殺人芸術のクライマックス」とかいう奇抜なワードでワクワク。あちこちに流転する物語をつなぐ編…

「恐怖人形」感想

恐怖人形、観た。日本人形をモチーフにしたジャパニーズホラーと見せかけて、サマーキャンプを舞台にしたスラッシャーという(一応の)ひねり。最初に人が死ぬまで時間かかり過ぎだし、途中「おもしろサマーキャンプの人選手権」になってたが、終盤の展開は…

「タクシー運転手 約束は海を越えて」感想

タクシー運転手 約束は海を越えて、観た。韓国の社会派エンタメにハズレなし!光州事件を追うドイツ人記者と、彼を乗せるタクシー運転手の物語。たった一人で未来を変える英雄なんて居ない。名もなき市民が力を合わせてこそなんですね。みんなの願いと希望を…

「5つ数えれば君の夢」感想

5つ数えれば君の夢、観た。全然ハマらず、途中で寝てしまいました。東京女子流の演技、深夜ドラマならまだしも劇場公開作品のレベルに達していないと思うのだが…。文学的なセリフと世界観で引っ張っていくのは山戸結希作品のカラーだが、それ故にビジュアル…

「狐狼の血」感想

狐狼の血、観た。面白かったな〜。もはや「どっちがヤクザだよ」なマル暴。粗暴なベテラン刑事・大上と新入り・日岡の対比。日岡はガミさんの色に染まったんじゃない。先輩を越えたんだ。俺はどこか日岡が「ぶっ壊れる」のを待ち望んでいたのだとあとから気…

「フィアー・ストリート Part 3: 1666」感想

フィアー・ストリート Part 3: 1666、観た。物語はいよいよ最終章、田舎町が呪われる発端となった中世の「事件」に迫る。魔術の禍々しさは期待していたほどではないものの、程よい緊張感で楽しめた。サラ・フィアーの呪いの理由と1994年パートのリンクがすば…

「フィアー・ストリート Part 2: 1978」感想

フィアー・ストリート Part2: 1978、観た。おもしろい!呪われた田舎町の歴史を描く第二弾。サマーキャンプで殺人鬼が大暴れ。「ストレンジャー・シングス」でおなじみのS・シンクがイカしてる。小さな子どもも容赦なくぶった斬られるのでビビる。ゴア描写…

「フィアー・ストリート Part 1: 1994」感想

フィアー・ストリート Part 1: 1994、観た。王道ジュブナイルモノかな〜と思ったら、案外しっかりしたスプラッター描写もあり、するっと楽しめました。歴代殺人鬼大集合!な絵面はちょっと笑えたけど、彼らの正体の種明かしはこれからのようだ。都市伝説オタ…

「プラットフォーム」感想

プラットフォーム、観た。何百層にも連なる地下牢獄、食べ物は上の階層の余りのみ…。あまりに直球な格差社会のメタファーだった。月に一度、階層がランダムに決まるという設定が肝だ。おそらく様々なところに文学的・宗教的モチーフが散りばめられているが、…