映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「名もなき野良犬の輪舞」感想

名もなき野良犬の輪舞、超絶大傑作!粗野で成り上がりのジェホと野心的でピュアなヒョンス。刑務所で出会った二人は互いに信頼関係を築き、裏社会の頂点を目指すが…。「誰も信じるな。状況を信じろ」と語る男が唯一信じた若者。死線を潜り抜けきた固い絆を捨…

「なまいきシャルロット」感想

なまいきシャルロット、大傑作!天才ピアニストに出会い夢膨らませるシャルロット。しかし、家政婦のおばさんも、妹同然の隣の家の女の子も、嫌なことばかり言う。言い寄ってくる旋盤工の男もいるけど…。13歳って絶妙な時期。クララをひと目見た衝撃は恋のよ…

「タイラー・レイク 命の奪還」感想

タイラー・レイク 命の奪還、みた。拉致された麻薬王の息子を救出すべく敵陣に乗り込む傭兵。序盤の敵アジトでの肉弾戦、中盤の擬似ワンショットのカーチェイス。砂塵舞うダッカの市街地で敵の目をかいくぐりながら戦うスリル。「ジョン・ウィック」「1917」…

「21世紀の女の子」感想

21世紀の女の子、みた。すごいエネルギーと気合の映画!15人の監督それぞれのカラーを存分に発揮。バラバラゆえの作品毎の噛み合わせの悪さや摩擦が〈21世紀に生きる女の子〉の多様性やあり方そのものを体現し、一言では言い表せない複雑性を含んだ一本の映…

「ペパーミント・キャンディー」感想

ペパーミント・キャンディー、大傑作!「戻りたい」と叫びながら自殺した男の20年を遡る。なぜ彼は廃人となり死に追い込まれたのか?を探るミステリー的構造。背景にあるのは韓国の近代化と希望の歴史であり、国家の運命と個人史が結びつくのがこの国の映画…

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」感想

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q、みた。面白かった!映画館で見たらひっくり返っただろうな…。「破」の感動をひっくり返して観念的な映像をひたすらぶつけてくる、この衝撃!すべてが一旦終わった後に再構築された世界のビジュアルに痺れる。誰の感情にも近寄…

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」感想

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破、みた。超絶大傑作!このシリーズって、追い込まれるシンジ君たちにもっと酷い目にあってくれと願う嗜虐心と、さらなる絶望を期待する破滅願望とがせめぎ合い、その限界を突破した時の爆発力がたまらなく気持ちいいなと思う。…

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」感想

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序、みた。シンジが初号機に乗る決意を固める(固めさせられる?)まで。シリーズは詳しく覚えてないので、細かい差異は分からない。序盤は展開が早くダイジェスト的。晴空の下、棺桶みたいなエントリープラグに閉じ込められ孤独…

「ハッピーフライト」感想

ハッピーフライト、みた。ちょっとびっくりするぐらい楽しかった。空港を舞台にして面白くならないはずがない!時間厳守の整備士、厄介な客を華麗にさばくCA、そしてすべての責任を負うパイロット。「快適な空の旅を届ける」ために働く、このとてつもなく巨…

「アメリカの影」感想

アメリカの影、みた。なるほど、ジャームッシュはカサヴェテスに影響を受けていたんだ…ということを今更ながら知る。この会話の生々しさと緊張感!ヒューがレリアの連れてきた男にキレる剣幕、カフェでたむろする男たちのあいだに流れる何もない時間。どうっ…

「白夜(ヴィスコンティ)」感想

ヴィスコンティの「白夜」みた。恋する男との再会を夢見て橋で待つナタリアと、そんな彼女を追い回すマリオ。お互い平行線のまま夜の港町をさまよう。やがてふたりを祝福するように舞い始める雪、と思いきや…。酒場でのダンス、ふたりきりのボートの多幸感、…

「37セカンズ」感想

37セカンズ、みた。脳性まひの女性・ユマの成長を描く。いやぁ、面白かった!どこへ行くにも母が干渉してくるし、はじめて出会う人はみんな驚きや好奇の眼差しを向けてくる。なるほど、彼女は目に見えない監獄の中で生きているのだ。でも、彼女にしか見えな…

「男はつらいよ 寅次郎頑張れ!」感想

男はつらいよ 寅次郎頑張れ!、みた。こんどは寅さんが恋の指南役。「アイ・ラブ・ユー。できるか、青年」は名言。だって、寅さんはそれを言う前に折れちゃうし、一歩引いてしまうから。彼が振られた瞬間の顔を写さない演出!中村雅俊と大竹しのぶのカップル…

「ドライビング Miss デイジー」感想

ドライビング Miss デイジー、みた。黒人ドライバーと屋敷に一人で住む貴婦人の交流を描く。最初はツンツンしていたふたりが徐々に仲良くなり、無二の親友となっていく様は微笑ましいけど、やはりこの関係性を無邪気に笑ってみることは難しいね。昔の作品と…

「ほえる犬は噛まない」感想

ほえる犬は噛まない、大傑作!ポン・ジュノの原点。とある団地で起こる犬の連続失踪事件を描く。黄色のパーカーの少女が団地を駆け回る、このスリルと疾走感!ぺ・ドゥナの朴訥とした雰囲気がユーモラスだけど、箱庭的スケールの物語には貧困、マタハラ、夫…

「ルートヴィヒ/神々の黄昏」感想

ルートヴィヒ/神々の黄昏、みた。パラノイアに侵され非業の死を遂げた〈狂王〉ルートヴィヒ2世の生涯を描く。ワーグナーとの関係、エリーザベトに対する想い、そして豪奢なお城への散財…。王として失格の男であるのは確かだが、この未熟で繊細な男の人生は…

「イカとクジラ」感想

イカとクジラ、みた。多感な時期に両親の離婚という危機に直面したウォルト。ノア・バームバック作品もハズレがない!はじめのテニスの場面で家族の関係性をすべて説明してしまう手際の良さ。親に反発するが故に似てしまったり、良い思い出は軽蔑しているは…

「パンとバスと2度目のハツコイ」感想

パンとバスと2度目のハツコイ、みた。今泉力哉作品にハズレなし!パン屋で働く絵が描けなくなった元美大生のもとに現れた初恋の相手。かつて好きだった人が目の前にいるほわほわした高揚感と、すでに気持ちは知られているという気まずさと、距離感の掴めない…

「夜」感想

ミケランジェロ・アントニオーニの「夜」みた。超絶大傑作!親友の死と共に崩壊する夫婦の一夜を描く。パーティーでは主役の夫ジョヴァンニと、ないがしろにされる妻リディア。妻の表情に刻まれた失望。ナイトクラブでの虚ろな目!抜け殻の未練を捨てられな…

「あとのまつり」感想

あとのまつり、みた。突然記憶を失う現象が流行した街に生きる少女と少年。相手を忘れてしまっても気兼ねなく挨拶できるように必ず「はじめまして」で声をかける。たとえ過去とのつながりがほつれても、わたしはたしかにここで生きていたしそこに嘘はないの…

「モンパルナスの灯」感想

モンパルナスの灯、傑作!夭折の天才画家・モディリアーニとその妻ジャンヌの物語。才能がありながらも認められず、病気に苦しみ、酒に溺れてしまう心の脆い男。妻との幸せを願いながら思うようにいかない悲劇。死神のようにつきまとう画商がおそろしい。二…

「ニッポン無責任時代」感想

ニッポン無責任時代、みた。口八丁手八丁で成り上がる無責任男・平均(たいら・ひとし)の物語。これ、ミュージカル映画なんだね。上司にゴマスリ、接待、宴会芸。これぞ昭和のサラリーマンの生態。お調子者がスイスイと事を進めていく。無責任なのでクビに…

「生きのびるために/ブレッドウィナー」感想

生きのびるために/ブレッドウィナー、みた。タリバン政権下のアフガニスタンで〈男〉として生きのびる少女を描く。女というだけで自由に出歩くこともできない、途方もない不安と息苦しさの中で、それでも物語に縋り、ことばを紡いで希望を手繰り寄せていく…

「ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯」感想

ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯、みた。大傑作!かつて友人同士だったならず者と保安官。カッコいい散り様も英雄的な活躍もない、決闘に挑み無残に死んでいく男たちのバラード。みんないずれ殺されると覚悟を決めたような目つき。死期を悟った老保安官が夕陽…

「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」感想

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ、みた。大傑作!忘れられていたキューバ音楽の古老を再発掘した同名アルバムのドキュメンタリー。カーネギーホールの舞台の上で万雷の拍手を浴びるイブラヒム・フェレールの表情!本作はこの瞬間の彼を捉えるために存在し…

「天国はまだ遠い」感想

天国はまだ遠い、みた。17年前に死んだ女子高生・三月の幽霊とAV編集を生業とする男、彼の元に訪れる三月の妹。やはり震災を連想。大切なひとが消えても、世界は変わらず回り続ける。本当にそこに死者は存在するのか?という緊張感。ヒリヒリとした居心地の…

「母なる証明」感想

母なる証明、傑作。殺人で逮捕された知的障害の息子のために真犯人を探す母。これは母ゆえの愛情なのか、それとも息子への執着なのか。この世界に混じり気のないピュアな善意だけの人間などいない。エゴと保身と強欲。ひんやりとした感覚だけが胸に残った。…