映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

「ハッピーフライト」感想

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ハッピーフライト、みた。ちょっとびっくりするぐらい楽しかった。空港を舞台にして面白くならないはずがない!時間厳守の整備士、厄介な客を華麗にさばくCA、そしてすべての責任を負うパイロット。「快適な空の旅を届ける」ために働く、このとてつもなく巨大で複雑な世界の〈住人〉たちが愛おしい。

俺はこの空港で働く仕事人たちを〈住人〉と呼びたい。俺ら素人にはわからない言語で会話し、彼らだけで通じるルールにしたがってキビキビと動く。なるほど、よくわからないけど、きっとこれが最も効率的なのだろう。そして終盤に向かうにつれ、その意味が明らかになる。しっかり答え合わせがある。

お仕事映画には〈ごっこ遊び〉的な面白さがある。「若おかみは小学生!」はまさにそういう魅力でもって子どもたちを惹きつけているのだけど。パイロットやCAみたいに輝かしい表の職業だけでなく、PCとにらめっこして天気を予測する人や、バードパトロールみたいな地味だけど興味深い職種も登場する。

「自分だったらどのお仕事がいいかなあ」って妄想するのも楽しい。パイロットは制服がカッコいいし、職人気質の整備士も素敵。いまでは一線で活躍する俳優たちが、まだワンランク下だった頃の演技を見られるのも楽しい。ああ、この人も出てるんだ!みたいな宝探し感もワクワクする。

田畑智子の恋の予感とか、クレーマーと吹石一恵のトラブルとか、他にもいろいろあるけどサイドストーリーも豊富で。もっと見たい!と思わせつつもちょうどいい塩梅で「ここまでね」の線引きで終わらせる。キャラに被りなく、それでいて魅力たっぷりの登場人物たち。しかもしっかり矢口ワールドの住人。

空港を出発してバードストライクでただ引き返すだけの1時間40分をこれだけ面白く描けるのは、ほんとにもうさすがとしか言いようがない。矢口史靖監督の作品、まだまだ見てないから遡らなければ…。