映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2019-01-01から1年間の記事一覧

「左利きのエレン」感想

左利きのエレン、全話完走した。何かになりたいともがく〈凡人〉デザイナーと、つねに彼を呪い続ける存在としての〈天才〉エレン。何者かになるんだとのたうち回る朝倉の痛々しさよ。ところどころマンガから実写へのフォーマットにズレは感じるが、朝倉が最…

「マリッジ・ストーリー」感想

マリッジ・ストーリー、大傑作!どれだけたくさん愛おしいところを言い合えたって、些細な〈許せない〉の積み重なりが二人を引き裂いてしまう。結婚という制度はすごく残酷で、しょせん人間が作った赤の他人同士を結びつけるための契約でしかない。しかし、…

「G線上のあなたと私」全話感想

G線上のあなたと私、全話完走した。すごく優しいドラマでした。今さら何者になろうというわけでもない、大人たちの音楽教室。彼らには普段の生活がある。テストの前は忙しいし、家族のお世話に付きっきりの時もある。それでもみんなでカラオケルームに集ま…

「サイゴン・クチュール」感想

サイゴン・クチュール、みた。仕立て屋の傲慢な娘が1969年から現代にタイムスリップ!没落した実家を救うため奮闘する様を描く。面白かった!アオザイって奥が深い。着る人の美を最大限引きだすフォルムに惚れ惚れ。ポップでカラフルなデザインも眼福。勢い…

「アニエスによるヴァルダ」感想

アニエスによるヴァルダ、みた。ヌーヴェル・ヴァーグを代表する作家、アニエス・ヴァルダが自らの人生を振り返る。写真家からキャリアをはじめ、映画製作、インスタレーションの発表まで、90歳になるまでつねに表現の手法を模索し続けたパワフルさにひたす…

「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」感想

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け、みた。三部作の完結編。単なる光と闇の二項対立では割り切れないレイとレンの関係、レジスタンスの成長と絆、明らかになる真の敵。アクションアドベンチャーとしては楽しかったけど、これが壮大なサーガの締めく…

「オリーブの林をぬけて」感想

オリーブの林をぬけて、みた。ジグザグ道三部作の完結編。大地震に見舞われたラケルではじまる映画撮影。結ばれなかった男と女が夫婦の役を演じて…。あいかわらず会話の間がおもしろい。素朴で抜けた感じが良い。ジグザグ道を下りながら必死で女の子を追いか…

「金子文子と朴烈」感想

金子文子と朴烈、みた。関東大震災に端を発した朝鮮人虐殺と権力に抗う男と女の愛を描く。日本人は犯した罪を必死に忘れようとするが、彼らが生きた証も、恥ずべき過去も消えることはない。いい意味でふてぶてしく、生きたいように生きようとする文子と朴烈…

「カツベン!」感想

カツベン!、みた。一流活弁士を夢見る青年の奮闘とロマンスを描く。昔の悪さのせいでヤクザに追われ、クセは強いけど心地良い仲間がいて、思い出のあの子とのロマンスがあって…古き良き時代劇の趣き。誰かに化けて演じるという〈ウソ〉を乗り越えて、劇場の…

「芳華 Youth」感想

芳華 Youth、みた。70年代末の中国を舞台に、文工団の青春を描く。文化大革命に中越戦争。彼らが打ち込む歌と踊りは戦意高揚のプロパガンダだ。当の共産党への批判的目線に欠ける点に限界を感じるが、激動の時代にまっすぐ未来を信じて生きる男女がパワフル…

「ジュマンジ / ネクスト・レベル」感想

ジュマンジ / ネクスト・レベル、みた。大学生になったスペンサーたちが再びゲームの世界へ。とりあえずロック様無双とカレン・ギランのヌンチャクはたのしい。ダチョウ集団や橋渡りのシーンも良かったけど、予告編以上のものはないしねえ。前作の焼き増し感…

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」感想

ジョン・F・ドノヴァンの死と生、試写会にて。傑作!とあるスターが突然の死を迎えるまでを彼の〈秘密の文通友だち〉の目線で振り返る。ドランが繰り返し描いてきた〈母と息子〉のひとつのゴールかもしれない。偽りだらけの時代に真実を。これは希望の映画。…

「屍人荘の殺人」感想

屍人荘の殺人、みた。なにこれ!?長野の山奥で〈異変〉に気づいた人々がペンションに集まり…。シナリオも演出も崩壊する中、浜辺美波の圧倒的画力だけで魅せ続ける2時間。神木くんとの相性もよい。これだけでずっと見ていられる。展開詰め込みすぎて最後は…

「アメリカン・ミーム」感想

アメリカン・ミーム、傑作!一世を風靡したインフルエンサーたちの〈その後〉を追う。自分で作ったキャラクターに飲まれていく。飽きたら捨てられる商品として消費される日々。華々しい表の世界からは想像できない裏の顔。〈パーティ盛り上げ役〉のキリルが…

「ファイティング・ファミリー」感想

ファイティング・ファミリー、みた。良作!イギリスの田舎からWWEのスタープロレスラーを目指す少女の物語。自分の弱さと才能の差を突きつけられて逃げ出したくなったり、家族の期待と愛が重荷になったり…それでも覚悟を決めて一歩を踏み出すペイジがかっこ…

「羊とオオカミの恋と殺人」感想

羊とオオカミの恋と殺人、みた。隣の部屋に住む美少女が殺人鬼だったら…。これはラブコメらしい。であるならば、ドギマギする駆け引きや、本当に自分の方向いてくれてる?って不安、相手に屈する喜びを、もっと丁寧に描いてほしかった。福原遥が猟奇的って、…

「クレイマー、クレイマー」感想

クレイマー、クレイマー、大傑作!家族を顧みなかった夫と、自由に羽ばたきたかった妻。父としても夫としても失格だったテッドがだんだん〈必死〉になる。ケガの息子抱えて街を走り、クリスマスに職を探し、最後はすべて〈息子のため〉に…。一度は愛したジョ…

「幸福路のチー」感想

幸福路のチー、大傑作!祖母の死をきっかけに米国から故郷したチーの半生と激動の台湾現代史を描く。だれもが自信を持って人生の選択ができるわけじゃない。不安と航海の迷路をさまよう中でフラッシュバックする子どもの頃の思い出とおばあちゃんの教え。た…

「ニーナ・ウー」感想

ニーナ・ウー、大傑作!下積みの末、話題作の主演を掴んだニーナだったが、とある〈悪夢〉が彼女の現実を蝕むようになり…。Metoo運動に触発されたサスペンス。乱切りの虚構とメタファーが観客を振り回す。作品全体を覆う、常に不安や恐怖に追い回される焦り…

「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」感想

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション、面白かった。原作は知らないけど、そんなのまったく関係ない!小学生レベルの下ネタとスレスレの不謹慎ギャグのつるべ打ち。しかし決めるところはカッコよく。クールな長回し&一人称視点と流れるようなア…

「昨夜、あなたが微笑んでいた」感想

昨夜、あなたが微笑んでいた、大傑作!歴史あるプノンペンの集合住宅、ホワイト・ビルディング。日本企業の買収により住民たちの強制退去が始まる。これは二度と帰れない〈我が家〉へのラブソングなのかもしれない。コンクリートの壁に染み付いた生活の匂い…

「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」感想

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け、みた。とらやに転がり込んだ"画家"と借金抱えた芸者のぼたん。寅さんから始まる思いやりの連鎖。思えば、彼が上野の飲み屋で老人を拾わなかったら、このハッピーエンドはなかった。立場を超えて心通わせ合う幸せ。めずらし…

「波高」感想

波高、みた。過疎の進む島で身体を売る少女と、彼女を取り巻く村民を描く。全員が親戚か兄弟の閉鎖的な空間で、男社会の醜い欲望と抑圧が、女を苦しめる。淡々と描かれる狂気と倫理観の破綻に目新しさはなく、エンジンかかるのも遅すぎるのだが、その分ラス…

「アナと雪の女王2」感想

アナと雪の女王2、みた。エルサは謎の歌声に導かれ、アナたちと共に閉ざされし森に足を踏み入れる。正直もうアニメーションの発展で感動することはないと思っていたけど、これは凄まじい。テーマは前作の反復ながら、アナとエルサが〈どんな選択をするか〉…

「熱帯雨」感想

熱帯雨、みた。国語教師のリンは不妊治療が上手くいかず、夫との仲も破綻しかけている。そんな彼女に生徒のひとり・ウェイルンは好意を抱いていた。雨の中、二人きりで車に乗る。窓を滴る雨、肌に貼りつく湿度、官能的なワイパーのリズム…。禁欲からの解放が…

「羅小黒戦記」感想

羅小黒戦記、超絶大傑作!大都会の隅っこでひっそり暮らしていた猫の妖精・シャオヘイは、魔法使いのムゲンに連れられ、居場所を探す旅に出る…。パワフルなバトル描写、妖精たちの可愛らしい掛け合い、そして試練を乗り越える中で育まれる師匠との絆!ロード…

「PROSPECT プロスペクト」感想

PROSPECT プロスペクト、みた。傑作!一攫千金を狙って降り立った採掘惑星で父を殺され、ならず者と共に故郷への帰還を目指す少女の物語。70年代SF風ガジェットとゴールドラッシュ末期の退廃的な雰囲気にハマる。誰も信じられない孤独なサバイバルの中で逞し…

「ゾンビランド ダブルタップ」感想

ゾンビランド ダブルタップ、みた。リトルロックの家出から始まる冒険を描く「ゾンビランド」後日譚。ゾンビをサクサク退治していく楽しさはそのままに、愉快な新メンバーも迎えてパワーアップ。マディソンの異次元のアホっぷりに笑う。みんな良い意味で10年…

「テルアビブ・オン・ファイア」感想

テルアビブ・オン・ファイア、良作!人気ドラマの脚本家が結末をめぐって検問所の主任とトラブルになり…。複雑なパレスチナ情勢を皮肉とユーモアを交えて描く。あっちを押してもダメ、こっちを引いてもダメ。八方ふさがりのサラムの状況は、この国の現実。で…

「女は女である」感想

女は女である、傑作!突然「妊娠したい」と思い立ったアンジェラ、だったら他の男を探せと突っぱねるエミール。〈やり込めようとする男〉と〈被害者ぶる女〉。粗っぽくもテンポよく進む映像は、ファッション雑誌のページをめくっているみたい。最初から最後…