映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2021-01-01から1年間の記事一覧

「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”」感想

ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”、観た。松潤の「52000人みんな幸せにしてやるよ!」はウソじゃない。最初から最後までひとつも外さない演出。一般常識レベルでしか嵐の曲を知らない自分でも楽しめた。ほんとに幸せそうなお客さんの…

「偶然と想像」感想

偶然と想像、観た。「テキストと発話」という濱口竜介のテーマに、エリック・ロメールやホン・サンスのエッセンスが加わった。暴力的になだれ込んでくる想定外の現実。思い通りにいかないことをありのまま幸福として受け止める。第三話「もう一度」の余韻は…

「GUNDA/グンダ」感想

GUNDA/グンダ、観た。音楽もナレーションもない、農場に暮らす豚の親子を追ったドキュメンタリー。すやすやと寝息をたてる母と、騒がしくそのまわりを歩く子。ファーストカットから映画の着地点は見当がついてしまったのだが、これを観て何か感じろという企…

「おいしい給食 Season2」全話感想

おいしい給食 Season2、全話見た。いやぁ、おもしろかった。甘利田先生の給食愛はもはや狂人の域だが、転任先で再会した神野もパワーアップ。彼らを見守る学年主任の変化も好き。なにより配膳の時間の多幸感!みんなでごはん食べるってやっぱり楽しいんです…

「浅草キッド」感想

浅草キッド、観た。幻の浅草芸人・深見千三郎とビートたけしの師弟関係を描く。当時の浅草の風俗から、実在の人物の再現に至るまで完成度が高く、邦画ではなかなかお目にかかれない水準の伝記映画だ。こういう「市民ケーン」的な、大物になってから振り返る…

「ジャンヌ」感想

ジャンヌ、観た。救国の戦士が異端審問を経て、火刑に処されるまでを描く。リーズ・ルプラ・プリュドムの真っ直ぐな眼差し!史実では19歳だが、役者は当時10歳。屈強な兵士や皺だらけの司祭たちに囲まれるとその特異さが際立つ。物言う少女を「生意気」と見…

「ジャネット」感想

ジャネット、観た。のちにジャンヌ・ダルクと呼ばれる少女が神の声を聴き、戦争に旅立つまでを描く。まさかのヘヴィメタミュージカル!ジャネットがヘドバンする!修道女がチューチュートレインする!叔父さんがラップする!終始意味不明であるが、不思議に…

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」感想

パワー・オブ・ザ・ドッグ、観た。粗暴な農園主・フィルと、その対極のフェミニンな少年・ピーターの接近が淡々と描かれるが、その裏ではロープのように何重にも入り組んだ「呪い」がある。「皮がない!」と涙目で癇癪をおこすフィルのなんと哀れなことか…。…

「フラ・フラダンス」感想

フラ・フラダンス、観た。震災から十年後のハワイアンズを舞台に、フラガールを目指す新人たちの奮闘を描く。フラのゆったりした動きと、南国の穏やかな音楽と、震災の苦しい記憶。一人ひとりの情熱のリレーが、笑顔あふれるステージに結実していく。なんと…

「モスル あるSWAT部隊の戦い」感想

モスル あるSWAT部隊の戦い、観た。長引くダーイッシュ(ISIS)との戦いで荒廃したモスル。主要キャラも容赦なく事故や急襲で死ぬ。どうしてこのボロボロの街でSWATは戦い続けるのか?この無意味な戦争はいつ終わるのか?そんな問いがぐるぐると頭の中を回っ…

「パーフェクト・ケア」感想

パーフェクト・ケア、観た。ひとり暮らしの高齢者を老人ホームに閉じ込め、資産を搾り取る「ビジネス」で財を成したマーラ。しかし、新たな「獲物」にはウラがあり…。詐欺師vsマフィア。どちらが勝っても最悪のバトルをたのしむ。途中から「もう二人とも勝手…

「彼女が好きなものは」感想

彼女が好きなものは、観た。BL好きの少女が告白した同級生には男の恋人がいて…。とても心動かされたんだけど、いざ感想を書こうとなると、彼らの物語を普遍的な何かに還元していいのだろうか、と葛藤してしまう。この世界を複雑なままに捉えるならば、ひとつ…

「怪盗ルパン」感想

怪盗ルパン、観た。ベル・エポックのフランスを舞台にした、ジャック・ベッケルによる犯罪活劇。ルパンのかなりざっくりした盗みはともかく、スクリーンを彩る調度品やドレス、ロベール・ラムルーの飄々としたセクシーさに惚れる。なによりラストカット!鳥…

「地獄が呼んでいる」感想

「地獄が呼んでいる」全六話、観た。ちょっと終盤失速したかな〜。理不尽な暴力を人びとが「神の力」と解釈し、世界が混沌としていく。その手触りは「DEATH NOTE」に近い。前半と後半の構成の分け方も「L編」と「ニア・メロ編」のようだった。個人的には「イ…

「ベイビーわるきゅーれ」感想

ベイビーわるきゅーれ、観た。面白かった。これだけ高水準のアクションをニッポンの見慣れた景色で見られるとは。特によくあるコンビニで生々しい殴り合いが展開される冒頭はすばらしい。正直、ギャグには乗り切れなかったのだけど、まひろとちさとは大好き…

「子供はわかってあげない」感想

子供はわかってあげない、観た。大傑作。ムリして泳ごうとすると溺れちゃう。まずは「死体ごっこ」で波に身を任せよう。終始そんな独特のフロウで進む美波の気ままな夏休み。しかし、上白石萌歌のコミカル=漫画的な所作と、豊川悦司の威圧的なオーラによっ…

「アイス・ロード」感想

アイス・ロード、観た。鉱山事故の救出装置を運ぶため、四人の凄腕ドライバーが危険な薄氷の上を突っ走る!「恐怖の報酬」を期待するとズッコケるが、それなりに楽しんだ。正直、トラック運転手たちの奮闘そのものよりも、あまりに執念深く仕事熱心なヴィラ…

「ラストナイト・イン・ソーホー」感想

ラストナイト・イン・ソーホー、観た。オンライン試写にて。ひとり暮らしの女の子が60年代ロンドンの夢を見るようになる。しかしそれが徐々に悪夢になって…。いやぁ、メチャクチャ面白かった。ロンドンという街が持つ妖しげな色気とアニャ・テイラー=ジョイ…

「マリグナント 狂暴な悪夢」感想

マリグナント 狂暴な悪夢、観た。素直にぎゃあ〜ってなった笑 ほぼ満席の映画館、あの瞬間はみんなで同じ感覚を共有していたと思う。本当に最悪な映像を最悪なままにお届けしてくれる。終盤に掛けては物語の加速と映像のテンションがかみ合って、恐怖と興奮…

「ミュジコフィリア」感想

ミュジコフィリア、観た。偉大な音楽家を父にもつ異母兄弟の物語。うーん、これは音楽映画なのか、ご当地映画なのか、それとも群像劇なのか。どの要素も面白くなりそうなのに、ぜんぶ中途半端で終わった。しかし「すくってごらん」のように人によってどハマ…

「肉体の冠」感想

肉体の冠、観た。邦題が意味不明だが、原題の「Casque d'or」は娼婦の派手な髪型を指すらしい。因縁つけるロランやそれに応える主人公のマンダは気が短いし、裏で手を引くルカも薄情だ。気持ちの乗る映画ではなかったが、マンダの逃走から反逆への終盤は面白…

「柔らかい肌」感想

柔らかい肌、観た。不倫男の二重生活を描くサスペンス。ピエールを演じるジャン・ドサイの頼りない顔がすばらしい。お前どう考えてもウソは下手だし不倫できるほど図太くないだろ、っていう笑 扉の手前と向こう側、見る/見られるの関係…。真夜中にパリに向…

「これは君の闘争だ」感想

これは君の闘争だ、観た。激動の2010年代ブラジルで学生運動に身を投じた三人が当時を振り返るドキュメンタリー。教育を受ける、当然の権利のために子どもたちが闘わなければならない社会って、一体何なのだろうと泣きたくなってしまった。しかし、そこに確…

「モーリタニアン 黒塗りの記録」感想

モーリタニアン 黒塗りの記録、観た。グアンタナモ収容所の真実をめぐる攻防を描く。釈放を求める弁護士と、起訴を試みる軍人が、じつはアメリカ人として同じ正義を信じている。そして、反復されるミサとサラート。カトリックもムスリムも、最後は神=真実の…

「13th -憲法修正第13条-」感想

13th -憲法修正第13条-、観た。エヴァ・デュヴァーネイによるドキュメンタリー。奴隷制廃止以降、黒人差別が「合法化」され、やがて刑務所産業の衣をまとった「ビジネス」になっていく様が明かされる。差別はカネになるという身も蓋もない現実を突きつけられ…

「男はつらいよ 寅次郎すみれ歌」感想

男はつらいよ 寅次郎かもめ歌、観た。仲間の墓参りで出会った子が東京に…。父親代わりに奮闘する寅さんが新鮮だ。若い頃の伊藤蘭がメチャクチャ可愛い。黒木華とかミイヒの系統。娘に「しあわせになれよ」と背中を押す「しあわせになれない」寅さん。これが…

「エターナルズ」感想

エターナルズ、面白かった!紀元前から地球を護ってきたヒーローの物語。これまでのMCUヒーローのオリジンは「なぜ戦うのか?」を求める物語だったが、彼らは戦うために遣わされた神だ。戦いの人類史から立ち現れる再帰的な問いへの答えは極めてパーソナルだ…

「ほんとうのピノッキオ」感想

ほんとうのピノッキオ、観た。童話のキャラクターを実写にした違和感やグロテスクさを、そのまま美しく撮ろうとするセンス!美醜のスキマにいるピノッキオのデザインが良い。その佇まいは善悪の判別がつかず、ときにピュアな心で優しく人に接し、ときに欲に…

「いちどは行きたい女風呂」感想

いちどは行きたい女風呂、観た。一か八か賭けで手をつけたが、案の定ハマらず。ナンセンスな笑いの邦画はまあまあキツい。1970年当時は「太陽に愛されよう」でおなじみの小麦肌ブームだったせいか、風呂場の女性がみんな日焼けしている。ボーリング場でドラ…

「MONOS 猿と呼ばれ者たち」感想

MONOS 猿と呼ばれし者たち、観た。人質を預かるゲリラ軍の少年兵たちの聖域が徐々に崩壊していく…。少年少女のイノセンスとエネルギーが逃げ道のない暴力に迷い込んでいく過程は、W・ゴールディング「蠅の王」を思い出す(豚の頭出てくるし)。誰が主人公か…