「ジャネット」感想

ジャネット、観た。のちにジャンヌ・ダルクと呼ばれる少女が神の声を聴き、戦争に旅立つまでを描く。まさかのヘヴィメタミュージカル！ジャネットがヘドバンする！修道女がチューチュートレインする！叔父さんがラップする！終始意味不明であるが、不思議にもジャネットの特異性が浮かび上がる。謎映画。

ふざけているのか真面目なのかハッキリしない映画である。ジャネットの友人がブリッジして登場するのは果たしてどういう意図なのか。叔父さんが乗馬に失敗して水に落っこちるのは何故なのか。ただ「面白いから」以外の理由が思いつかないのだが…。森の中で神の使い？と対峙するイメージもたのしい。

ただ物語的にはあまり起伏がなく、ヘヴィメタもヘドバンもだんだん新鮮味がなくなってきて、途中から興味を失ったのは確かである。1425年フランスと現代を行き来して時間概念を抽象化するのはいいが、俺はそのまま道に迷って眠気に負けてしまった。まわりも気持ち良さそうに寝てたが…。

ミュージカルなのにみんな歌もダンスもヘタだし、セリフまわしもこなれた感じはしない。どうやら素人を起用しているらしい。時代劇としての生っぽさと、作り物のゴツゴツした違和感が正面からぶつかる。この感覚が「ジャンヌ・ダルク」伝説そのものの異物感へと接続する。