映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「サイダーのように言葉が沸き上がる」感想

サイダーのように言葉が湧き上がる、観た。あんなにキュートな前歯してるのにコンプレックスに思ってしまうスマイルちゃんが愛おしくて堪らなかったのだが、そんな彼女への恋心がサイダーのように湧き上がるチェリーくんもまた可愛らしい。爽やかで喉越しの…

「退屈な日々にさようならを」感想

退屈な日々にさようならを、観た。今泉力哉作品でぶっちぎりの面白さ。「不在」から立ち上がる「生」について。肉体は滅びたかもしれない。でも、生きていたでしょ?と何度も問いかける。今泉節とも言うべき「ズレた会話劇」が「生死」の物語に絡んだとき、…

「サムジンカンパニー1995」感想

サムジンカンパニー1995、観た。90年代の大手電気メーカーを舞台に、一般職の女たちが内部告発に挑む韓国版「エリン・ブロコビッチ」。ボディコンに肩パッド、かき上げた前髪でクールに着飾る!テクノ音楽もオシャレ。偏見に抗い、泥くさく突き進む三人の戦…

「DAHUFA 守護者と謎の豆人間」感想

DAHUFA 守護者と謎の豆人間、観た。中国発のバイオレンスアニメーション。「羅小黒戦記」の演出力の高さを改めて知ることになった。虐げられる「豆人間」を共産党に抑圧される少数民族に読み替えることは可能だが。コミカルなキャラデザもグロとのギャップを…

「17歳の瞳に映る世界」感想

17歳の瞳に映る世界、観た。オータムの旅は行き当たりばったりで、観ている間ずっと不安だった。どうしてそっちを選ぶ?と何度思ったか。でも、彼女は自分で決断する、大きなカバンを担いでふらふらと前に進む。17歳の彼女はそうするしかなかった。彼女の心…

「犬部!」感想

犬部!、観た。誠実に作られた快作だ。「どんな命も見捨てない」と獣医をめざす花井と、彼に賛同して集まった「犬部」の物語。花井の夢はあまりに壮大で、綺麗事と云うひともいるかもしれない。それでもピュアに夢を追い続ける彼は、たしかに小さなところか…

「プロミシング・ヤング・ウーマン」感想

プロミシング・ヤング・ウーマン、観た。すさまじい毒を持った映画だ。これ観て「痛快!」って気分にはとてもじゃないけどならない。「お前はどうなんだ?」「無関係だと思ってないよな?」と迫るような。交差点で立ち尽くすキャシーが印象的。ずっとそうい…

「嵐電」感想

嵐電、観た。生活の場としての京都という切り口は新鮮だ。地層のように積み重なった日常の匂いと人びとの記憶。ゆったりと落ち着いた雰囲気のファンタジーながら、ギョッとするカットのつなぎを多用しており、油断ならない。ただ、全体的な空気の良さに引き…

「歌え!ロレッタ愛のために」感想

歌え!ロレッタ愛のために、観た。大傑作!どこにでもいる歌好きの田舎娘が、夫にもらったギター片手にスターダムを駆け上がる。この時代の音楽シーンはカーステレオから生まれたんだ。ラジオ局をまわりながらグランド・オール・オプリを目指すまでの長閑さ…

「男はつらいよ 寅次郎春の夢」感想

男はつらいよ 寅次郎春の夢、観た。アメリカからやって来た行商人・マイケル。「アメリカ人は嫌いなんだ」と騙して梅干し食わせて逃走したり、日本語分からないと罵声を浴びせたり、とにかく寅さんの悪行が目立つが、ことばが通じなくても「男」として理解し…

「東京自転車節」感想

東京自転車節、観た。コロナ禍で仕事を失った監督が上京し、一回目の緊急事態宣言下の東京をウーバーイーツ配達員として駆け抜ける。非常に生々しいドキュメンタリーである。監督の惨めな境遇や情けなさ、どうしようもない現状への愚痴まで、あれもこれも全…

「少年の君」感想

少年の君、観た。ことしの映画でいちばんしんどい。北京大学を目指すいじめられっ子のチェンと、彼女を守ろうとするチンピラのシャオベイ。底なしの地獄で見つけた小さな幸せすら、あっさりと踏み躙られる。大人や社会が頼りにならない、徹底した「個」の物…

「SEOBOK ソボク」感想

SEOBOK ソボク、観た。永遠の命を持つクローンと彼を守る元情報局員の逃避行を描く。もう少し硬派なSFを期待していたが、思ったより力の入ったアクション映画だった。個人的には「やっぱり韓国映画はこっちに行っちゃうか…」と。この手のジャンル映画が好き…

「竜とそばかすの姫」感想

竜とそばかすの姫、観た。面白かった。芒洋としたネット空間で、少女が変える「世界」とは。うたを通して自らを解放していくすずの成長が爽やかだ。四万十川の表情もすばらしい。しかし、細田作品にしてはノイズ少なくて見易いな〜と思ってたら、案外批判が…

「ブラック・ウィドウ」感想

ブラック・ウィドウ、観た。面白かった!ナターシャって居場所のない孤独なスパイのイメージだったので、いい意味でそれが覆された。レッドルームの設定がふんわりしてたり、血に塗れた彼女の過去への踏み込みが今ひとつな気もしたけれど。あのヴィランのモ…

「ロマンス・パパ」感想

ロマンス・パパ、観た。60年代韓国を代表するホーム・ドラマ。ゆる〜い前半はそれなりに退屈だが、少々シビアな展開を迎える後半、これが効いてくる。パパ役のキム・スンホが素晴らしい。特に終盤のしょぼくれた顔と丸い背中の切なさよ!子どもたちによる心…

「東京リベンジャーズ」感想

東京リベンジャーズ、観た。アニメ版は途中で挫折したが、こちらはちょうどよくエピソードが端折られて観やすかった。吉沢亮の魅力はなにを考えているか判らない死んだ目つき。マイキーの妙な愛嬌と怖さにハマっていた。山田裕貴の演技の幅の広さと奥深さに…

「ハニーレモンソーダ」感想

ハニーレモンソーダ、観た。傑作!最近の少女マンガ原作映画でも最高級に良いのでは?ラウールくんはクールだけど、スカさないカッコよさ。あの笑顔にはファンでもないのにキュンキュンしてしまう。「俺ね、空飛べるんだ」と言うときのやさしい表情にハマる…

「アルジェの戦い」感想

アルジェの戦い、観た。フランス統治下のアルジェリアが独立を勝ち取るまでを描く。5年の歳月をかけ、8万人のエキストラを動員した映像の迫力と生々しさに衝撃を受けた。無差別テロの酷さ、民衆が社会を動かすエネルギー、フランスの恥部、ぜんぶ描く。これ…

「プティ・カンカン」感想

プティ・カンカン、観た。海岸沿いの静かな村で、バラバラ死体が詰め込まれた牛が見つかった。ポンコツ憲兵隊長と、地元少年・カンカンはそれぞれ事件を追い始めるが、やがて連続猟奇殺人に発展し…。さすがに3時間半は長いが、最後までするりと観れてしまう…

「トゥモロー・ウォー」感想

トゥモロー・ウォー、観た。未来人から地球滅亡の警告を受け、世界規模の徴兵が始まる…。期待以上に面白い。近未来SFとしてツボを抑えたデザイン、シューティングゲーム的ミッションとアクションシーケンス、そして、単なるクリーチャーモノに終わらない物語…

「誤発弾」感想

誤発弾、観た。朝鮮戦争で傷ついた家族が、貧困に喘ぎ、崩壊していく様を描く。「漢江の奇跡」より前、この国がどれだけ悲惨であったかを知った。ロッセリーニやヴィットリオ・デ・シーカらのネオレアリズモ的な手触りがある。解放村の家があまりにみすぼら…

「ゴジラvsコング」感想

ゴジラvsコング、観た。楽しかったですね〜。冒頭ちょっと眠かったけど、エイペックス本部に乗り込むあたりから俄然盛り上がる。ネオンに照らされた二大怪獣のバトルは燃えました。人類の危機なのにみんな個別行動、現場の頑張り(物理)でなんとかなってし…

2021年上半期ベスト(旧作)

旧作・邦画①おやすみ、また向こう岸で②螺旋銀河③息の跡④バトル・ロワイアル⑤晩春⑥近松物語⑦あいが、そいで、こい⑧ゆがんだ月⑨おくりびと⑩親密さ 旧作・洋画編①鳥②ローズマリーの赤ちゃん③桜桃の味④希望のかなた⑤見知らぬ乗客⑥幸福なラザロ⑦遊星からの物体X⑧…

2021年上半期ベスト(新作)

①二重のまち/交代地のうたを編む②いとみち③聖なる犯罪者④ノマドランド⑤まともじゃないのは君も一緒⑥ピーチ・バム⑦別に、友達とかじゃない⑧青葉家のテーブル⑨アンコントロール⑩オクトパスの神秘 洋画編 ①二重のまち/交代地のうたを編む②いとみち③まともじゃ…

「いとみち」感想

いとみち、観た。これは素晴らしい!母を亡くした内向的な少女が、三味線やメイドカフェの仲間たちと向き合い、成長していく様を描く。津軽弁のあたたかく素朴なリズムと、津軽三味線の荒々しいパワフルな音色が、迷える少女を導いていく。三味線を弾くその…