「竜とそばかすの姫」感想
竜とそばかすの姫、観た。面白かった。芒洋としたネット空間で、少女が変える「世界」とは。うたを通して自らを解放していくすずの成長が爽やかだ。四万十川の表情もすばらしい。しかし、細田作品にしてはノイズ少なくて見易いな〜と思ってたら、案外批判が多くて、自分の鈍感さにびっくりしている笑
細田監督はインターネット嫌いなのかな笑 ネット世論の毀誉褒貶が混在する感じの描き方はワイドショーの再現ビデオみたいで、あんまり上手いとは思わなかったけれど。あとネット空間「U」がどういう世界なのかピンとこない。これは「バケモノの子」のバケモノ界のゆるさからあまり進歩してない。
あとアバターを通して、自分の手の届く世界の外へ冒険していく過程は「レディ・プレイヤー1」を思い出した。「U」の描き方は「アメーバピグ」の域を出ず、みんなが熱狂するのを納得できるほどの説得力はない。でも、そこらへんのディテール(設定)の甘さを補ってあまりあるだけのアニメーション表現。
オープニングのクジラに乗って現れるベル(「バケモノの子」のクライマックス!)の迫力はすばらしかった。ここでノレれば、そのあとはもう映画の流れに身を任せればいいのではないか。「U」の描写で「ブレンダンとケルズの秘密」を思い出したが、本当にカートゥーン・サルーンが関わってるらしい。
しかし、どんなに豪華なネット描写よりも、俺は駅の改札口での長回しから横断歩道をまたがった会話への一連の流れにいちばん惹かれた。細田監督の演出力が光っていたと思う。やっぱりこの人は監督と原作だけ担当して、脚本はほかの人に任せてほしいけど、そうすると良さが失われるのかなあ。