映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)

さいきん見た映画の感想を書いています。ネタバレありなので未見の方は注意してください。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「RUN/ラン」感想

RUN/ラン、面白かった。生まれつきの喘息持ちで車いす。そんな不自由な生活を送るクロエを献身的に支える母・クロエには秘密があり…。一本のネタで走り切る胆力!サラ・ポールソン演じる母の憎たらしさよ。本気で倒されてくれと願ったので、この映画の勝ち…

「1秒先の彼女」感想

1秒先の彼女、観た。とってもチャーミングなSF。これぞ現代版「織姫と彦星」。シャオチーがスクリーンの中をドタバタと動きまわるだけで楽しいのだが、それだけでは終わらない。雑多な近代都市から、のどかな農村地域まで、台湾のおいしさが散りばめられてい…

「海辺の金魚」感想

海辺の金魚、観た。小川紗良長編デビュー作。児童養護施設で暮らすふたりの少女の物語。手堅い映画だな〜と思ったけど、監督のカラーが出てくるのは次回作以降なのかな。どの要素もバランスがいいからこそ、全体的なインパクトは弱かったように思う。浜辺の…

「Arc アーク」感想

Arc アーク、観た。人類初の「不老不死」の女性の人生を描く。これを30分の短編にまとめたら傑作だったのにな〜という感覚は最後まで拭えなかった。フランスや北欧あたりの近未来SFを志向しつつ、邦画らしさも漂わせる。正直、チグハグな部分も目立つのだけ…

「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」感想

クワイエット・プレイス 破られた沈黙、みた。いやぁ〜、面白かったですね。人間とモンスターが同じ画角に収まる、そのサイズの対比と切迫感にゾクゾクくる。ジャイモン・フンスーのキャラがカッコ良かったので、もっと見たかった。そして、リーガンが最高。…

「近松物語」感想

近松物語、観た。封建制に引き裂かれる身分ちがいの恋を描く。坂を転がり落ちるようにドツボに嵌っていく茂兵衛とおさん。冒頭の市中引きまわしの禍々しいイメージが彼らの行く末を予感させる。茂兵衛が閉じ込められる部屋のレイアウトが面白い。そしてラス…

「あの夏のルカ」感想

あの夏のルカ、観た。面白かった〜。いい意味でピクサーらしくない。ぎゅっと詰まったひと夏の思い出を、地中海の爽やかな景色がカラフルに彩る。人間の子どもがシーモンスターの世界に飛び込むのではなく、その逆を行き、ルカとアルベルトが正体を隠して冒…

「ゆがんだ月」感想

ゆがんだ月、みた。兄貴分を射殺された正夫は期せずしてその真相に組の幹部が絡んでいることを知り…。暗闇で殺し屋から逃げまわる一連のシーケンスに震える。「赤とんぼ」ってそんなに怖い曲だったっけ?音と影だけの直接見えない敵。きらびやかな神戸の街並…

「ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜」感想

ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜、観た。長野五輪を陰で支えたテストジャンパーたちの物語。なぜ自分はいま、この場所に立っているのか。テストジャンプをその意味を問う戦いと捉えたのは、いいと思った。日の丸を背負うこと、金メダルへの期待の危うさ…

「青葉家のテーブル」感想

青葉家のテーブル、観た。めちゃくちゃ好き。流れる時間が心地よい。定期的にこういう爽やかな夏映画を観たい。有名人の母から逃げるように、美術予備校に通うため、青葉家に居候することになった優子。わたしは何になりたい?そんな問いに優しく答えを示し…

舞台「夜は短し歩けよ乙女」感想

舞台「夜は短し歩けよ乙女」に行きました。最高。けっきょく気になる人をデートに誘えるのかどうなのかか、それだけの話なのに、なぜこんなにもワクワクするんだろう。モラトリアムの屈折をくどくど述べる先輩が愛おしく、京都の街を軽やかに飛びまわる黒髪…

「おやすみ、また向こう岸で」感想

「おやすみ、また向こう岸で」をみた。超絶大傑作。山中遥子の作品は一生追いかけると誓った。「セックスはフェアなコミュケーションじゃない」と語るナツキ。そんな彼女に近づくカナコの突拍子もない提案。30分でやるには少々強引な展開も、的確な演出とド…

「ビーチ・バム まじめに不真面目」感想

ビーチ・バム まじめに不真面目、みた。酒!ハッパ!女!な放蕩生活を送りつづける天才詩人・ムーンドッグは、ある出来事をきっかけに無一文の危機に陥る…。すべてを「楽しめれば良い」に還元し、無意味にしてしまう男。なにもかも不道徳で狂っているのに、…

「逃げた女」感想

逃げた女、みた。五年間の結婚生活ではじめて夫と離れ、旧知の友人を訪ねていくガミ。繰り返される会話は、だんだんデジャヴじみてくる。情報は断片的にしか示されず、ふわふわとした疎外感に戸惑っていると、徐々に彼女たちの孤独と、ガミがなにから「逃げ…

「この世界に残されて」感想

この世界に残されて、みた。ホロコーストを生き抜いた少女と寡黙な意志が心通わせるハンガリー映画。クララはアルドに亡くなった父を重ね、恋愛に近い感情すら抱いている。親子のようにも、男と女のようにも見える綱渡りの関係はふたりだけのもの。「ウソつ…

「映画大好きポンポさん」感想

映画大好きポンポさん、みた。ニャリウッドの敏腕プロデューサー・ポンポさんに抜擢された映画オタク・ジーンは大作の監督を任されることになるが…。「創作」にたいする覚悟や思想に必ずしも納得したわけではないが、映画が好きでたまらない人たちの熱き物語…

「アメリカン・ユートピア」感想

アメリカン・ユートピア、みた。ブロードウェイのショーを映画に再構築。スパイク・リーの名に引きずられて社会風刺を期待していたが、ブラック・ライヴズ・マターから人間の成長や老いに至るまで、思ったより幅広いテーマを扱っていた。中盤、眠気に勝てず…

「Mr.ノーバディ」感想

Mr.ノーバディ、みた。主人公のハッチがイカレている。バスでイキったチンピラを襲撃した時点で嫌な予感がしていたが、完全にオーバーキルだ。もはやロシアンマフィアの方に同情しながら見ていた。「この感覚が忘れられないんだ…」じゃあないんだよ。痛々し…

「ラーヤと龍の王国」感想

ラーヤと龍の王国、みた。これは面白い!この映画に完全無欠の人は居ない。プリンセスは人間不信だし、だれもが少しずつ過ちを犯している。だって、現実に分かり易い「ヴィラン」なんていないじゃない?ところでほぼ全編コロナ禍のリモート製作というから驚…

「あの頃をもう一度」感想

あの頃をもう一度、みた。「雨に唄えば」の本歌取り短編ミュージカル。雨ってネガティブなイメージを持たれることが多いけど、時と場合によっては解放や祝福を意味する。通り雨をいっときの男女の熱情になぞらえたこの映画は、雨上がりの景色にこそ「輝き」…

「胸が鳴るのは君のせい」感想

胸が鳴るのは君のせい、みた。うーん…浮所くんの演技ちょっとまずいのでは。ジャニーズのクール系は「かぐや様」の平野紫耀や「ライアー×ライアー」の松村北斗といった先例があるけど、彼は目が全然演技していない。相手の白石聖の瞳が印象的だっただけに、…

「鳥」感想

ヒッチコックの「鳥」をみた。大傑作。ホラー映画を見ても怖いとは思わない方だけど、これは本気で震えました。ド派手なスプラッターより、生爪剥がされたり、急所蹴り上げられたりする場面の方が痛みを感じるのと同じ。けたたましい鳥の泣き声が恐怖を煽るB…

「トゥルーノース」感想

トゥルーノース、みた。北朝鮮の収容所の現実を描くアニメーション。正直、演出には粗い部分も多く、作品世界への没入を阻まれたのだが、なにより「メッセージ」の強い映画だと思った。観客は強制的に「目撃者」にされる。あまりの凄惨さに脚色を疑いたくな…

「ポルトガルの女」感想

ポルトガルの女、みた。EUフィルムデーズ2021にて。異国のお城でひとり、戦争に旅立った夫を待つ女。デジタル撮影で緻密に切り取られた光とモノの質感。フランドル絵画のような美しさに見惚れる。質素な生活をひたすら映す2時間16分は、物語として見ると単調…

「フェアプレー」感想

フェアプレー、みた。EUフィルムデーズ2021にて。社会主義体制下のチェコスロヴァキアを舞台に、オリンピックの夢とドーピングの圧力でゆれる若きスプリンターを描く。貧しい国で国家の看板を背負うということ。当時のアスリートの葛藤を想う。しかし、それ…

「ユニコーンを追え」感想

ユニコーンを追え、みた。EUフィルムデーズ2021にて。Skypeを生んだIT大国エストニアを舞台に、シリコンバレーに乗り込む起業家のオイエと商才ゼロの天才エンジニアの奮闘を描く。中盤かなりグダってしまうのが惜しいものの、終盤の「イグジット後こそ本番」…

「ファイト・ガール」感想

ファイト・ガール、みた。EUフィルムデーズ2021にて。両親の別居や情けない兄に鬱憤をためるボーは、ある日、引っ越し先の団地でキックボクシングのジムを見つける…。自分にはどうにもならない理不尽とどう向き合うか。青春のモヤモヤをスポーツに打ち込み解…

「映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット」感想

映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット、みた。ハイテンションな演出も、もはや体に馴染んできた。森川葵がとにかく良い。主演の浜辺美波より輝いていたのではないか。ヴィランの藤井流星も絶妙な小物感がすばらしい。生徒会の前に現れた時の「元カレ…

「オーストリアからオーストラリアへ ふたりの自転車大冒険」感想

オーストリアからオーストラリアへ ふたりの自転車大冒険、みた。EUフィルムデーズ2021にて。いやぁ、旅っていいな〜。「地球は広い」とは云うけれど、自分の足でユーラシア大陸をわたった人の記録を見て、改めてこの星の豊かさに驚かされる。旅先の人がみん…